鎧武外伝『仮面ライダーデューク/仮面ライダーナックル』の後半『仮面ライダーナックル』。
駆紋戒斗の遺志を受け継ぐのは誰だ?
チームバロンを巡る因縁。
熱い男たちの物語をネタバレたっぷりにレビューします。
戒斗が主役の鎧武外伝も配信中なので、気になる方はチェックしてください。
スタッフ・キャスト
まずは主要スタッフとキャストをご紹介します。
それぞれウィキペディアなどにリンクを貼っておくので、是非、他の参加作品などもチェックしてみてください。
【スタッフ】
監督:金田 治
脚本:毛利亘宏
アクション監督:竹田道弘
音楽:山下康介
【キャスト】
ザック/仮面ライダーナックル:松田 岳
ペコ:百瀬 朔
アザミ:麻亜里
呉島光実(クレシマ ミツザネ):高杉真宙
高司 舞(タカツカサ マイ):志田友美
城乃内秀保(ジョウノウチ ヒデヤス):松田 凌
初瀬亮二(ハセ リョウジ):白又 敦
チャッキー:花影香音
リカ:山川未菜
ラット:小澤 廉
ダンサー:兎弍桜路浪漫
審査員:ポール・ハーバーマン
構成員:上原 誠
チーム鎧武:重友健治 ・ 鈴木聖哉 ・ 伊藤 萌
チームバロン:鈴村圭介 ・ 鈴木智久 ・ 海
シュラ/仮面ライダーブラックバロン:中村龍介
鳳蓮(オオレン)・ピエール・アルフォンゾ:吉田メタル
駆紋戒斗(クモン カイト):小林 豊
【スーツアクター】
仮面ライダーナックル・仮面ライダー龍玄:佐藤太輔
仮面ライダーブラックバロン:永徳
【挿入歌】
『Dance With Me』作詞:藤林聖子 作曲:五戸力 編曲:ats-
歌:TEAM BARON(CV:松田 岳/百瀬 朔/小林 豊)
アメリカンドリーム
駆紋戒斗がいなくなった後、チームバロンをまとめていたザックが本作の主人公。
そのザックが、自分のダンサーとしての実力を試すため、少しの間、チームバロンをペコに託し、ニューヨークに旅立つところから物語は始まる。
周りより、ちょっと目立てるようになった時に渡米したいと考えるのは、誰にとっても夢なのかもしれない。
野球選手がメジャーリーグに憧れるように。
バスケ選手がNBAに憧れるように。
長井秀和が世界に通用するコメディアンに憧れたように。
こと、ショウビズの世界において、やはりアメリカは特別なのだろうとは思う。
ハリウッドやブロードウェイはもちろん、アポロシアターなんて名前も聞いたことのない人は少ないだろうし、音楽にさほど興味のない人でも、ビルボードで1位なんて言葉を聞けば、なんとなく凄そうという感想は持つはずだ。
ザックもまた、同様にアメリカンドリームを求めたのかもしれない。
ネオ・バロン
ダンスのオーディションを受け続けるザックの元に、日本にいるペコの姉・アザミから1本の電話。
なんと、ザックがいない間にチームバロンが乗っ取られ、ネオ・バロンという新チームに姿を変えてしまったらしい。
そのネオ・バロンを率いるのは、シュラ。元・チームバロンの一員だった男だ。
話は、ザックたちが戒斗と出会った頃にまで遡る。
沢芽市でナンバーワンのダンスチームとして君臨していたザックたちの前に現れた戒斗は、「一緒にやらないか?」というザックに「今日からこのチームは俺のものだ」と、まさかの乗っ取り宣言。
もちろんみんなが素直に頷くわけもなく、ケンカで決着をつけることに。
その中の一人がシュラで、背後から鉄パイプで殴りかかるという卑劣な手で戒斗に挑むが、あっけなく倒されてしまう。
ビビったシュラは、「あんたに従う」と手のひらを返すように戒斗に忠誠を誓うが、「卑怯者はいらない」と追い出されてしまった。
そのシュラが、再び姿を現した。
ザックがバロンを託したペコも、どうやらシュラに連れ去られたらしい。
日本に戻ったザックは、単身、シュラの元へ向かう。
力を求める者
シュラは、地下闘技場で勝ち抜いた者にザクロロックシードを与え、ネオ・バロンの構成員とし、「セイヴァー」と呼ばれるシステムで「強き者(ネオ・バロンの構成員)だけが生き残る世界を作りあげる」ことを目的としていた。
それと同時に、その地下闘技場での戦いを賭けの対象として資金集めをしている。なんだか『刃牙(バキ)』みたいな世界である。
ザックは、ペコを救い出すため、シュラが仕向けてきた一人の構成員といきなりガチのバトルだが、K-1にも出ていたキックボクサー・上原誠さんでビビる。
しかし、ザックもめちゃくちゃいい身体でビビる。
生身でのバトルだが、これがなかなかの迫力だ。後半戦で登場するライダー同士のバトルより緊迫感がある。
しかし、それでも相手が強すぎて防戦一方のザック。
最後は、肉を切らせて骨を断つような痛快な大逆転を見せるが、連れ帰ろうとしたペコは、自らの意思でここに残ると言い出す。
ネオ・バロンへの勧誘を、あっさりと断るザックに、シュラの魔の手が迫る。
窮地に陥ったザックを救ったのは鳳蓮と城乃内。
いかに強者といえど、所詮は街のチンピラレベル。ガチの傭兵である鳳蓮にかなうはずもない。
その隙に城乃内と共に逃げ出したザックだったが、アザミが人質に取られてしまう。
ブラックバロンVSジンバーマロン
同時配信されている『仮面ライダーデューク』のラストで、狗道供界から手渡されていたバナナロックシードを使ってシュラが変身した姿が「ブラックバロン」。
まさに黒。一部のカラーリングの違いだけで、こうも禍々しい雰囲気になるのかと思う。
武器は通常の「バロン」と変わらぬ槍(バナスピアー)。
対するザックは、「ジンバーマロンアームズ」で応戦する。
クルミロックシードに加え、戒斗のゲネシスドライバーから取り外したゲネシスコアとマロンエナジーロックシードによって変身する。
変身音は「ミックス! クルミアームズ! ミスターナックルマン! ジンバーマロン! ハハー!」
両手に”いが栗”。額にも”いが栗”。
両手のそれは、”とってつけた感”満載だし、ウニにしか見えなかったが、額のパーツは、まるで日輪を模した鎧兜のようでもあり、デザイン的にはとても上手いと思う。
ナックル同様、ボクシングスタイルでの戦いを得意とするが、そのパワーは段違い。
最後は必殺技同士のぶつかり合いを制し、シュラを倒す。
それにしても、魅力的な悪役がいる作品はそれだけで魅力的だと思うのだが、本作のシュラはまさにその好例。
人としては小物感がハンパないが、その小物感が物語を沸き立たせている。
ザックたちがイラつく理由にも、シュラをぶっ倒したいという想いにも共感しかない。
シュラを演じた中村龍介さんの演技が光る。
Dance with ・・・
シュラとの戦いを終えたザックは、戒斗のことを想いながら、「踊ろうぜ」と幻に語りかけ、共に踊り出す。
夜の公園で踊る二人をバックに、エンドロールが流れていく。
まるで80年代の大映ドラマみたいな展開で、ちょっとくすぐったくなるダサかっこいい終わり方だが、『鎧武』はこれで良い気がする。
今っぽい、ちょっと冷めた空気感よりも、昭和チックな熱さこそが本作には似合うと思うから。
同時配信の『仮面ライダーデューク』もなかなか深い内容でオススメ。
TTFC(東映特撮ファンクラブ)で配信中なので、気になる方はチェックしてみてください。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。