『仮面ライダーリバイス』第4話オーディオコメンタリー【撮影裏話】

TTFC(東映特撮ファンクラブ)にて限定配信されているオーディオコメンタリー付き『仮面ライダーリバイス』第4話を視聴しました。

今回はプロデューサーの望月さんと杉原輝昭監督のお話。物語の裏側について色々と興味深い内容が聞けたので、特に気になった部分をまとめてみる。最後までおつきあいいただければ幸いだ。

目次

謎の振付師

前回に引き続き登場した女性3人のアイドルグループ「小悪魔ランデブー」。

小悪魔ランデブー
画像引用元:仮面ライダーリバイス

今回はライブシーンのお披露目。作中では所々抜粋していたが、実はまるっと一曲、歌い、踊っていたらしい。

曲自体は配信もされるらしいので、興味のある方は「仮面ライダー avex SOUND WEB」をチェックしていただきたいが、話題になったのは振付師のこと。

画像引用元:仮面ライダーリバイス

オープニングにクレジットされていた振付師は、「トナミシホ」「小林カンナ」「橋本侑哉」という3名だが、この「トナミシホ」というのが、特撮ファンにはお馴染みの方らしい。

「トナミシホ」を逆さまにすると「ホシミナト」・・・ホシ★ミナト??

ホシ★ミナト
画像引用元:宇宙戦隊キュウレンジャー

そう。キュウレンジャーに登場したホシ★ミナトを演じ、2017年から特撮親善大使となった松本寛也さんのことらしい。

元々ブレイクダンスが得意ということもあって、今回はアイドルグループのダンスの振付を担当するという、なんとも多才な方である。特撮愛も深い。

ご本人たちは既に第4話の小悪魔ランデブー登場回の時点で、ツイートなどされていたようだが、全然気づいていませんでした。ごめんなさい。

悪魔の設定

今回、「悪魔との上級契約」と称して、コング・デッドマンがフェーズ2へと進化を遂げたわけだが、ここで『リバイス』における悪魔に関する設定が明かされた。

バイスタンプで契約者の中に潜む悪魔を分離したものが第1段階。この状態の悪魔は、言葉はしゃべらない異形の怪物という設定。

コング・デッドマン
画像引用元:仮面ライダーリバイス

そしてその分離した悪魔を契約者に受胎させるのが上級契約のフェーズ2。ガチで怖い悪魔のデザインとなり、言葉もしゃべる。第1段階よりも知的な戦い方もする。

コング・デッドマン・フェーズ2
画像引用元:仮面ライダーリバイス

というのが、今回の悪魔デザインの基本設定らしい。

この設定からすると、一輝とバイスの関係は第1段階に近いのかも。バイスはしゃべりまくるけど。

いずれリバイとバイスが一つになって、名実ともに仮面ライダーリバイスとなるのが最終ゲノムだろうか? なんて予想を第1話の頃からしているけれど、なんといっても『ゼロワン』の第1話を見て、ラスボスは飛電其雄(父)ではないかと予想していた私であるから、全くあてにならない。

他人の心がわからないヒーロー

個人的に「神回」だと思っているこの第4話でも屈指の重要シーンがコレ。

一輝と幸実
画像引用元:仮面ライダーリバイス

考えるよりも先に身体が動くゆえに、考えすぎて動けなくなる弟・大二のことが理解できないという一輝に、母・幸実は「強い人間なんていない。他人の心に寄り添える人になりなさい」と語りかける。

これは、主人公である一輝が、このまま他人の心がわからないヒーローで良いのか? と疑問を抱いた杉原監督の希望で追加されたシーンらしい。実際、このシーンがあるのと無いのとでは、後の展開の説得力がまるで違う。

悪魔に身をやつした娘と母親を仲直りさせようとする一輝の「俺は日本一のお節介だからな」というセリフも、先ほどのシーンがあるから活きてくる。他人の気持ちも理解したうえで、それでも俺にはこれしかできないという意思表示。若干自虐的ではあるが、根底にあるのは他人のための想いであることがうかがえる。先ほどのシーンがなかったら、ただの自己満男でしかないという、絶妙なバランス。

それに、これまでのことを大二に謝り、「仮面ライダーをやる」と決意を示すシーンでも、大二の想いを汲み取ろうと考え抜いた、ということが伝わってくる。「俺しかできねーんなら、やるしかないっしょ?」みたいな俺様節は微塵も感じられない。

たった一つのシーンが、次々と名シーンを紡ぎ出した。名シーンのコンボだ。

「ぷよぷよ」でも「ストⅡ」でもコンボはやっぱり気持ちいい。

コングがピョンピョン跳んだワケ

実は本編の中で、フェーズ2となったコング・デッドマンがピョンピョンと街中を飛び跳ねていたシーンには違和感があった。

コング・デッドマン・フェーズ2が町中を飛び回る
画像引用元:仮面ライダーリバイス

ジャングルの木と木の間を跳び回るサルをTVで見たことはあるが、ゴリラが同じように飛び回るシーンなんて見たことも聞いたこともない。ひょっとしたら、もうゴリラじゃなくなったのかもしれない。耳も長いし、身体も細いし、まさかウサギか? とまで思っていたのだが、違う違うそうじゃない。

答えは実にシンプルで、当初はゴリラっぽく、校庭や公園にある遊具・雲梯(ウンテイ)を渡るような仕草をさせようとオーダーしたのに、映像編集の担当者が雲梯を知らなかったらしい。ビックリである。

そこですぐに「じゃあ飛ばそう」と転換できる柔軟さはさすがだが、今は雲梯って珍しいのだろうか? 私が子供の頃は、あちこちで普通に見かけたものなのに。

家族のリアルを描く

「家族」をテーマの一つに掲げているだけあり、ここにはリアルな家族の姿が描かれている。家族の抱える問題と言い換えても良いかもしれない。

彩夏が悪魔に魂を売るのを止められなかった大二は、いつまでも煮え切らない兄・一輝のせいだと掴みかかる。

一輝につかみかかる大二
画像引用元:仮面ライダーリバイス

正論をぶつけられた一輝は、「じゃあ、お前が変身すればいいだろ!」と身も蓋もない言葉を浴びせてしまう。世界を守る男がする話ではない。思わず言ってはいけないことが口をついた、という感じ。ただの兄弟喧嘩だ。

そして、彩夏と、母・妙子との関係も似たようなものだ。

彩夏と妙子
画像引用元:仮面ライダーリバイス

妹ばかり気にかけて、自分のことはほったらかしの母に腹を立て、悪魔に魂を売ってしまう彩夏(プロデューサーの望月さんは、「それは悪魔に魂を売りたくもなるよね。わかるわかる」と誰もが納得できる状況ではなく、「え? そんなことで悪魔を生み出しちゃうの?」というちょっとしたボタンのかけ違いで悪魔を生み出してしまう姿を描きたいと言っていた)だが、弟や妹がいる方なら共感できるはずだ。「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから・・・」という枕詞ひとつでほったらかされた経験は少なくないはずだからだ。

どちらも、家族だから生じる問題である。要するに「甘え」だ。

家族だからわかってくれるだろう、という「甘え」。

以心伝心なんて言葉もあるし、確かになんとなく伝わるものもあるが、きちんと言わなければ伝わらないことの方が圧倒的に多い。

しかし、この「家族だから(他人とは違う)」という甘えや勘違いが引き起こす問題というのは存外に多いもの。思い起こせば、人気ドラマシリーズ『北の国から』だって、家族だからこそ抱える問題を描いていたから多くの共感を呼んだのだろう。

そういった家族のリアルをきちんと描いた上で、最後は「家族だからこそ許しあえる」という姿も描く。日曜日の朝、家族で見るドラマとして大切なことは決して外さない姿勢は見事というよりない。

本編は新ライダーも登場し、新たな展開が待ち受ける。五十嵐家という家族の物語についても、より深く掘られていくだろう。これでもかというほどに伝統的な仮面ライダーらしさと、まるで仮面ライダーらしくない新たな挑戦の数々を盛り込んでいる『リバイス』。まだまだほんの序の口だが、これほどまでに期待させてくれるライダーは久々。このまま最後まで我々を夢中にさせて欲しいものである。

ただし、今回のオーディオコメンタリーの音質は酷かった。しゃべりのプロではない単なるスタッフさんたちがお喋りしているだけ、といえばそこまでだが、せっかくのトークが所々聞き取れなくてモヤモヤした。作品自体が素晴らしいだけに、そこはなんとも残念。オーディオコメンタリーなのに、コメントが聞きづらいというのは、チャーシューメンを頼んだのにチャーシューが一番微妙だったというくらいの問題だと思う。まあ、最後にこうしてぼやいてみたが、作品自体は本当に素晴らしい。

雷堂

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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