”仮面ライダー”の伝統的デザインをぶっ壊した「仮面ライダー龍騎」。
当初は賛否両論だった特異なデザインでしたが、今も仮面ライダーが人気を博しているのは、このデザインがあったからだと断言できます。
ただしこれは、「龍騎に登場したライダーのデザインがぶっちぎりでカッコいい」という意味ではなく、「仮面ライダーといえば・・・」という伝統的な制約を打ち破ったことで、新しい世界観をもった新世代の仮面ライダーを次々に誕生させるきっかけになったという意味です。
興味のない人が見れば、すぐには仮面ライダーと気づけないようなデザインもありますが、それが目新しさに繋がり、「次はどんなデザインになるんだろう?」とワクワクさせてくれます。
一方で仮面ライダー同様、国民的ヒーローである「ウルトラマン」のデザインは、誰が見てもウルトラマンという文法に則ったものではありますが、流石に少し見飽きた感が否めません。裏を返せば、その制約の中でよく頑張っているな、とは思いますし、こちらの伝統的なデザインワークを称賛する方も少なくないとは思いますが、私はデザイン上も”自由の戦士”となった仮面ライダーを推します。
そして本記事では、仮面ライダーの歴史を変えた「仮面ライダー龍騎」に登場した全ライダーを、50音順にイラストでご紹介します。
どうぞ、最後までお付き合いください。
仮面ライダーインぺラー
いい暮らしがしたい」と夢見る地下駐車場の警備員、佐野 満(さの みつる)が変身するライダー。
デザインモチーフは、ガゼル。頭部と肩部のツノの形状に、草原を跳ね回るガゼルが想起されます。
ネーミングは「インパラ」と「エンペラー(皇帝)」という単語を掛け合わせた造語。
ジャンプ力に優れ、ムエタイっぽい足技が得意なライダーというのも、なんとなくガゼルっぽい(ムエタイをするガゼルなんて見たことないですが)。
ファイナルベント(必殺技)の”ドライブディバイダー”も、ガゼルらしく群れで襲いかかります。
筋肉質なイメージでデザインされたボディ、素材にバックスキンなどを用いるというこだわりで、龍騎に登場するライダーの中では、最も有機的な雰囲気を纏っています。
仮面ライダー王蛇(オウジャ)
ライダー史上最悪と呼ばれる凶悪な犯罪者、浅倉 威(あさくら たけし)が変身するライダー。
デザインモチーフはコブラ。頭部の形状が、まさに威嚇しているコブラを模したもの。
本来は高貴なイメージの紫のカラーリングも、どことなく不穏な空気が漂うのは、目元の歪んだスリットや、コブラの紋様を思わせるペイントが効果的だからでしょう。
時折見せる気怠そうな仕草も、独特の”凄み”がありました。
仮面ライダーオーディン
ライダーバトルに生き残った最後の1人が、戦う権利を得られるという最強のライダー。いわゆるラスボス。
なんと、時を操ることができます。
デザインモチーフはフェニックス。
翼を広げた鳥のような頭部や肩部の形状、ふんだんに使ったゴールドに荘厳さが漂います。
その正体は謎につつまれた男、神崎 士郎(かんざき しろう)だと思われていましたが、結局、最後まで明かされませんでした。
オルタナティブ・ゼロ
大学教授、香川 英行(かがわ ひでゆき)が変身する”擬似”ライダー。
”擬似”というのは、香川が自ら仮面ライダーを研究・開発したからで、元々の13人の仮面ライダーには含まれません。
「デザインモチーフはコオロギ」と聞くと、なんだか可愛らしい感じを受けますが、ライダースーツに装甲板をリベット打ちしたようなデザインは、それとは真逆の粗暴な雰囲気。
ゼロはプロトタイプで、もう一体、”オルタナティブ”も存在しますが、デザイン上は細部しか変わらないのでイラストにはしていません。
仮面ライダーガイ
自らを”天才”と呼ぶ大学生、芝浦 淳(しばうら じゅん)が変身するライダー。
デザインモチーフはサイ。
見るからに重量級の鎧を纏っており、左肩に聳え立つ赤い角が特徴的です。
サイのイメージ通り、突進からのタックル、そして頭部と肩の角で敵を串刺しにするという戦闘スタイルを得意とします。
カラフルなライダーが多い中、基本的にブラックとシルバーのツートンカラーというシンプルさがカッコいいライダーです。
仮面ライダーシザース
須藤 雅史(すどう まさし)が変身するライダー。
刑事という立場でありながら、邪魔者は全て排除してしまおうという恐ろしい男で、ライダーの力を悪用している。
デザインモチーフはカニ。
左腕に装着したシザースバイザーはカードリーダーであるだけでなく、分厚い鉄板を切り裂くハサミとしても使える。
仮面ライダーゾルダ
弁護士・北岡 秀一(きたおか しゅういち)が変身するライダー。
デザインモチーフはバッファローだが、武器は銃火器。突進みたいな泥臭い攻撃とは無縁です。
ゲーム「モンスターハンター」に登場するヘビーボウガンのようなギガランチャーは迫力満点。
最強の必殺技は「エンドオブワールド」。
その名の通り、周囲を根こそぎ壊滅させるほどの圧倒的な火力で敵を殲滅する。
仮面ライダータイガ
”真の英雄”に憧れる大学生・東條 悟(とうじょう さとる)が変身するライダー。
「許せないライダーは倒せばいい」というかなり自己中心的な考え方の持ち主で躊躇がない。
デザインモチーフは白虎。
ブルーとシルバーという色使いがとてもクールでカッコいいライダーです。
契約モンスター・デストワイルダーが引きずり回した敵に巨大な爪を立てるという、なんとも物騒な必殺技を使う強力なライダー。
仮面ライダーナイト
秋山 蓮(あきやま れん)が変身するライダー。
意識不明の恋人を救うために戦っているが、職業も不明。あえて言えばツンデレ。
デザインモチーフはコウモリ。
西洋の騎士(ナイト)を意識したデザイン通り、剣や槍を武器に戦います。
また、歴代ライダーとしては初めてマントを身につけて戦ったライダーでもあります。
仮面ライダーナイトサバイブ
ナイトが”サバイブ疾風”カードでパワーアップした姿。
大きく豪華になった胸と肩の装甲が、RPGなどでよく見る、下級兵士から上級騎士へのクラスチェンジをイメージさせます。
ブルーとブラックのツートンカラーが、ナイトのクールなイメージをさらに際立たせています。
仮面ライダーファム
若き女詐欺師・霧島 美穂(きりしま みほ)が変身するライダー。
歴代でも珍しい女性ライダーです。
デザインモチーフは白鳥。
詐欺師という薄汚い仕事をしていながらも、実は殺された姉を生き返らせるために戦っているという、その純潔さを示すホワイトが目に眩しい。
マスクと胸元の翼を広げた白鳥のモチーフと、花嫁のヴェールのようなマントも美しいデザインです。
仮面ライダーベルデ
巨大企業・高見沢グループの総帥である高見沢 逸郎(たかみざわ いつろう)が変身するライダー。
デザインモチーフはカメレオン。
悪役感が有り余るが、どこかユーモラス。見慣れてくるとかわいいとさえ思えてくるから不思議。
そのモチーフ通り、擬態や身体を透明にしたりといった特殊な技を使います。
仮面ライダーライア
占い師・手塚 海之(てづか みゆき)が変身するライダー。
デザインモチーフはエイ。
後頭部にエイの尻尾が弁髪風に配されており、細く釣り上がった目つきも含め、どことなく中華風。カラーリングもどこか中華風。
敵の武器や技をコピーできる”コピーベント”を駆使して戦う。
仮面ライダーリュウガ
ミラーワールドが生み出した鏡像の城戸 真司(きど しんじ)が変身するライダー。
黒い龍騎だが、全てにおいて龍騎の能力を上回っています。
鏡像の真司は現実世界に長時間留まることはできないため、現実世界の真司と融合することで実体を得ようとしており、融合すれば最強ライダーとなることができる、という設定でした。
仮面ライダー龍騎(リュウキ)
ネットニュース”OREジャーナル”の見習い編集員・城戸 真司(きど しんじ)が変身する主人公ライダー。
”ソリッドフェイスシールド”と呼ばれる、龍騎に登場するライダーに共通の”お面”の要素が最もわかりやすいデザイン。
お面の下の目の形は紛れもなく「仮面ライダー」の系譜であることを示しています。
モチーフはドラゴン。
剣を使ったり炎を発射したりもしますが、基本は仮面ライダーらしくパンチやキックといった肉弾戦を得意とし、必殺技は天高くジャンプしキックを叩き込む”ドラゴンライダーキック”。
仮面ライダー龍騎(リュウキ)サバイブ
龍騎が、神崎 士郎からもらった”サバイブ 烈火”のカードでパワーアップした姿。
ソリッドフェイスシールド上を横切っていたドラゴンのヒゲが、ピンと天を衝くようになっています。
全体的に赤かった龍騎から、ピンポイントで赤を強調するようなカラーリングに変更されました。
同じサバイブ仕様のナイトと比べると、やはり肉弾戦を得意とする龍騎の方が動きやすそうなデザインになっています。
参考資料
仮面ライダーのデザインは、プロのデザイナーさんたちの膨大な思考と遊び心によって創られています。
見ているだけではわからないことも、イラストとして描いてみようとしたときに気がつくことも多いです。
当初はネット上に転がっている画像などを参考に描いていましたが、どうしても細部がいいかげんになってしまうので、やはり詳細な資料があるに越したことはないです。
今回、上記イラストを描くにあたって参考にした書籍がこちらです↓
この他に下巻と最終巻があり、全ライダーの紹介や全話紹介に加え、スタッフさん達のインタビュー記事など龍騎ファンには読み応え満点の内容。
イラスト用の資料としても参考になりました。
3冊揃えても2,000円ほどでしたので、お買い得でした。
龍騎に興味が出てきたという方や、もう一度龍騎を観てみようかな? という方にはオススメです。
本記事は「仮面ライダー龍騎」に関するコンテンツのひとつとして、ライダーのイラストから主にデザイン面で気がついたことなどをまとめたものとなります。
イラストメイキングや作品のレビュー、各ライダーの詳細は、今後追加記事としてアップしていく予定ですので、そちらも楽しみにお待ちいただけたら幸いです。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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