2021年8月29日放送『仮面ライダーセイバー』増刊号「新たなページが、開くとき、」(監督:石田秀範、脚本:内田裕基)
平和が戻った世界。
飛羽真、賢人、ルナの3人を想起させるような、初期「ドリカム」(いきものがかりでも可)みたいな幼なじみの学生3人組と飛羽真が知り合うところから、『セイバー』最後の物語が動き出す。
最後までおつきあいいただければ幸いだ。。
キャスト
ここではキャストをご紹介する。
本作初登場の方はウィキペディアにリンクを貼っておくので、是非、他の参加作品もチェックしていただきたい。
神山飛羽真/仮面ライダーセイバー:内藤秀一郎
五十嵐一輝/仮面ライダーリバイ:前田拳太郎
仮面ライダーバイスの声:木村 昴
新堂倫太郎:山口貴也
須藤芽依:川津明日香
富加宮賢人/仮面ライダーエスパーダ:青木 瞭
尾上 亮:生島勇輝
緋道 蓮:富樫慧士
大秦寺哲雄:岡 宏明
ユーリ:市川知宏
神代玲花:アンジェラ芽衣
神代凌牙:庄野崎 謙
尾上そら:番家天嵩
文実:安藤美優
純平:蒲田優惟人
拓斗:木村聖哉
ジョージ・狩崎:濱尾ノリタカ
オルテカの声:関 隼汰
ソフィア:知念里奈
『リバイス』登場
予告どおり、次の新ライダー『リバイス』が登場する。これこそが今回最大の見どころだろう。
夏映画で既に登場はしていたが、こうしてTVでもお披露目するところに、『リバイス』にかける意気込みが感じられる。
ただし、あれだけ惜しみなく披露した映画と違い、今回はもったいぶるにも程がある、という感じだった。
もっとも盛り上がるはずの変身シーンは、芽依のセリフ一言で簡略化。
「メガロドン」へのゲノムチェンジも、芽依のセリフ一言で簡略化。
気になるなら本編を見てね! ということかもしれないが、普通にTV1話分のボリュームで映画デビューさせた『リバイス』とは思えないケチな演出には首を捻らざるを得ない。
あくまでも今回は『セイバー』の後日談であり、『リバイス』は顔見せ程度だよ、というのは理解できる(過去作でも次のライダーのチラ見せはこの程度だった)が、もうちょっと違う見せ方があったんじゃないかな? と思うのだ。
ライダーマニアのマッドサイエンティストとして登場予定のジョージ・狩崎も、ストラップをつけるほど好きなセイバーとエスパーダが目の前にいるというのに、なんだか中途半端なテンションである。原因は演技力だけでは絶対にない。
ただし、個人的には『リバイス』への期待は大である。
パステルピンクのデザインには、まだ慣れないし、「バイス」の絡み方はちょっとウザい感じもあるが、それでもこうして二人のライダーが掛け合いをしながら戦っていくという構図は、どことなく『電王』のイマジンとの絡みを彷彿とさせる。このままギャグ路線が強すぎると大火傷する可能性はあるが、そうはならないだろうことは予想がつくし、純粋に楽しみである。
バイスが『ゲゲゲの鬼太郎』に登場するねずみ男みたいに臭いオナラをするという設定も小さなお友達にはウケそうだ。しかし、大きなお友達はどうだろう? キャラを立たせたいとは言え、昔のドリフを彷彿とさせるような子供騙しの下ネタばかりで笑いを取ろうとするのはいただけない。
残念ながら多くの批判を受けてしまった『セイバー』でのフラストレーションを爆発させるように、「これぞ仮面ライダー!」という作品となることを期待している。
それぞれの道
剣士たちは、それぞれに新たな道を行く。
本業である刀鍛冶に戻るという大秦寺は、新たな聖剣を創り上げてみせると鼻息が荒い。
蓮は武者修行の旅に出る。「強さの果て」を見極めたいのだろう。身体は大人、頭脳は子供だった蓮が、求道者となったのは興味深い。問題は誰と戦うのか、だが、その前に銃刀法違反で前科者にならないことを祈っている。
尾上は唐突に教員試験を受けるらしい。これはひょっとしたら、「TTFC」で配信されている学生時代のマンガに登場する先代・土の剣士にして恩師(略して「土の恩師」)の影響なのかもしれないが、具体的な理由はさっぱりだ。最後まで『セイバー』の悪いところが垣間見えてしまう。
「合格」と書かれたハチマキは、絶滅危惧種だろう。そもそも、今でもこういう文化があるのか疑わしい。
倫太郎は神代兄妹とユーリ、ソフィアらと共に、ソードオブロゴス再建に取り組む。以前と同じ轍を踏まぬよう、独裁者を作らぬ評議員制の組織らしい。
クールビューティーだったはずの玲花は、ただのブラコンネタキャラと化した。最初は唐突なキャラ変に違和感しかなかったが、段々嫌いじゃなくなってきた。いや、玲花ではなく、単にアンジェラ芽衣が好きなだけかも。
さらに『セイバー』では主人公以外で唯一2度もパワーアップを果たした倫太郎が、最終回手前で保留にしていた「芽依に伝えたいこと」は、ただのネタとして、かなり雑に扱われてしまう。これで良いのか? と思いきや、ラストシーンではペアルックで登場するなど、うまく行っているようにも見えて、正直、よくわからなかった。
主人公である飛羽魔は、「普通の小説家に戻ります」と、まるで「キャンディーズ」のようなセリフを最後に、聖剣をソフィアに返納してしまう。山口百恵か? 昭和世代にはザックリ刺さる・・・のか?
その飛羽真と共に、本の素晴らしさを世に広めたいという賢人。とにかく一緒にイチャイチャしたいらしい。
そういえば、今回登場したバッタの怪人を倒す際にも、いつもどおり「物語の結末は、俺たちが決める!」で締め括ったわけだが、なぜかトドメを刺す前に飛羽真と見つめ合う賢人。
このライトBLみたいな展開は『セイバー』のそこかしこに散りばめられたが、本当にいらなかったと思う。
ともあれ、こうして皆それぞれの道を歩み始める。それはそれで清々しくはある。これこそが最終回で本来たどり着くべきところだったのかな? とも感じる。やはり最後まで盛り込みすぎが仇になった『セイバー』である。
しかし、これで本当に『セイバー』も最後。
歴代ライダーにおけるワースト1という不名誉なポジションを獲得してしまったのは確かだが、それは作品のディレクションに問題があったからであって、実際に現場で汗を流してきたスタッフさんやキャストさんに問題はなかったと思う。一部、スキャンダルなどはあったが、作品自体が面白ければ、誰も何も言わなかったか、言っても黙殺できたはずだ。
第47章のレビューと同じような終わり方にはなってしまうが、それでも全てのスタッフさんとキャストさんには「1年間お疲れ様でした。ありがとう!」と伝えたいし、今後登場予定のスピンオフも、それはそれで見てみようとは思っている。
そうして、この『セイバー』という物語を、きちんと胸に刻み、次作『リバイス』に目を凝らしたい。
見逃した方は「TTFC(東映特撮ファンクラブ)」でどうぞ。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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