そんなに地球人が好きになったのか|『ウルトラマン』第39話感想

雷堂

1967年4月9日放送『ウルトラマン』第39話「さらばウルトラマン」(監督:円谷 一 特技監督:高野宏一 脚本:金城哲夫)

『ウルトラマン』の最終回。

平均視聴率36.8%、最高視聴率42.8%を誇った国民的特撮番組のフィナーレである。

それが、まさか、こんな終わり方をするなんて・・・。

初めて見た子どもたちは、おそらくショックを受けるはずだ。ウルトラマンの最後がコレ? と。

しかし、やがて気づくだろう。円谷プロが『ウルトラマン』に込めたメッセージに。

歴史的最終回をレビューする。最後までおつきあいいただければ幸いだ。

目次

キャスト

ここでは第39話のキャストをご紹介する。

なお、以下の画像は全て『ウルトラマン』より引用している。

ムラマツ隊長

ムラマツ隊長

小林昭二

ハヤタ隊員

ハヤタ隊員

黒部 進

アラシ隊員

アラシ隊員

石井伊吉

イデ隊員

イデ隊員

二瓶正也

フジ・アキコ隊員

フジ・アキコ隊員

桜井浩子

岩本博士

岩本博士

平田昭彦

迫る円盤群

地球に迫る20機もの円盤群。

画像引用元:ウルトラマン

人工衛星を次々と破壊しながら飛来するそれらからは、ただの偵察などではなく、明確な侵略の意志が感じられる。

やがて大気圏内に侵入した円盤群は、日本を目指して侵攻を続ける。

まずは科特隊とウルトラマンを倒し、地球征服を確実なものとするためらしい。

地球を守るウルトラマンの名は、広く宇宙にまで轟いていたのである。

その円盤でやってきたのがゼットン星人。

画像引用元:ウルトラマン

別名は「変身怪人」。本編では、変身能力を使って岩本博士になりすまし、科特隊本部の破壊工作を行った。

パッと見で、「あれ?」と思った方は鋭い。というか、『ウルトラマン』を知っている方である。

実はこのゼットン星人、ケムール人のマスクを前後逆に被ったものらしい。

画像引用元:ウルトラマン

W杯サッカーか紅白歌合戦か、というほどの高視聴率を取っていた国民的番組であっても、最後まで予算と戦わなくてはならなかった様子が窺える。正確には、「お金がない」のではなく、「いくらお金があっても足りなかった」のだろう。それくらいスケールの大きな作品だったということである。

ゼットン星人の切り札

科特隊本部を破壊するゼットン星人も、ハヤタたちに追い詰められ、倒されてしまう。

「ゼットン・・・」と謎の言葉を遺し、絶命するゼットン星人。

すると、円盤群の中でもひときわ大きな円盤から、巨大な怪獣が姿を現す。

画像引用元:ウルトラマン

宇宙恐竜ゼットン

身長:60m

体重:30,000t

武器:1兆度の火球

特殊能力:バリア、瞬間移動

宇宙恐竜ゼットン。ゼットン星人の切り札である。「21世紀ウルトラマン宣言」(幻冬舎)という書籍によれば、ゼットンは宇宙のさまざまな場所から集められた生物同士を戦わせ、その戦いに生き残った者同士を交配させるという行為を、気の遠くなるほど繰り返した末に誕生したらしい。

まるで「蠱毒」である。

「蠱毒」とは?

ヘビ、ムカデ、ゲジ、カエルなどの百虫を同じ容器で飼育し、互いに共食いさせると、最後に残ったものは神霊になると言われており、その力(および毒)を使う呪術。

攻撃だけでなく、ウルトラマンのウルトラスラッシュさえ粉々に打ち砕く鉄壁の防御を誇り、瞬間移動で背後を取ってしまうあたりは、まるで『ブリーチ』か『ドラゴンボール』。まさに怪獣の中の怪獣。最終回を飾るにふさわしい存在である。

必殺のスペシウム光線さえ効かず、それどころか撃ち返されてしまい、それによってウルトラマンは絶命してしまう。

画像引用元:ウルトラマン

まさかの展開。

ウルトラマンのカラータイマーが点滅をやめ、目の光が落ちる。初めてこれを見た少年時代、子ども心に受けた衝撃は大きかったことを思い出す。

「ウルトラマン、死なないで!」という悲痛な叫びがこだまする。

ウルトラマンが倒れた今、もう人類には蹂躙される未来しか残っていないのか?

地球の平和を守るのは地球人

岩本博士が開発した新兵器「無重力弾」。

これが科特隊の切り札だ。

ウルトラマンが倒された今、地球の命運は、このたった一発しかない新兵器に託された。

撃ち込むのはアラシ隊員。後の毒蝮三太夫さんである。

この頃は、「ババア、4ね!」などという暴言は吐かず、ゼットンに狙いを定めて撃つ。

画像引用元:ウルトラマン

無重力弾の力で、30,000tもの巨体がふわりと宙に浮き上がり、粉々になるゼットン。

地球の平和を守ったのは地球人だった。

ふと、第37話でイデ隊員が「どうせ新兵器を作ったところで、ウルトラマンには敵わない」と落ち込み、その後ピンチを迎えると、ひたすらウルトラマンに助けを求めるシーンを思い出す。

絶対的なヒーローの存在は、一人一人の自主性や責任感を喪失させ、覚悟を鈍らせる。

「この人に任せれば大丈夫」「この人がいるから大丈夫」という過度な期待と、無責任な丸投げの末には、怠惰な群衆と、たった一人持ち上げられた英雄が残る。

英雄が、みんなの期待に応え続けてくれれば良いだろうが、それにしたって、英雄も永遠の存在ではない。

その英雄なき後には何も残らず、英雄が狂えば独裁が生まれる。

そこに明るい未来は無いに等しい。

だからこそ、そこに生きる一人一人の想いが、覚悟が必要なのだ。

ここには、そういったメッセージが込められているとしか思えない。

平和を守る一人のヒーローを描くことで、平和を守るために本当に必要なのは一人のヒーローではないことを伝えている。

子ども番組とは思えない深さ。だからこそ大人をも熱狂させたのだ。

そんなに地球人が好きになったのか

ゼットンとの戦いで命を落としたウルトラマンの元に、もう一人、ウルトラマンに似た存在が姿を現す。

ゾフィーである。

画像引用元:ウルトラマン

体表に描かれた赤いラインとスワロフスキーのように散りばめられた突起物(?)が特徴的だ。

ウルトラマンと同じM78星雲からやってきたというゾフィーは、ウルトラマンのために「命」を携えていた。

それを使って、共に光の国へと帰ろうと伝えても、「私は死んでもいいから、ハヤタのことを助けて欲しい」と訴えるウルトラマンに「そんなに地球人のことが好きになったのか」と語りかけるゾフィー。『シン・ウルトラマン』でも有名なくだりだ。

ここに至り、実は2つの命を用意してきたと言うゾフィーは、それらを使って、ハヤタとウルトラマンを蘇らせる。

ウルトラマンはゾフィーと共に銀河の彼方へ。ハヤタはウルトラマンと融合してからの記憶を失っているようだが、これから科特隊の仲間たちと共に、ウルトラマンのいなくなった地球を守っていくのだろう。

これは、宇宙から来た一人の英雄の記憶と、地球人たちの輝かしい未来を予感させる物語だ。

雷堂

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

特撮ヒーローのレビュー(仮面ライダーシリーズとスーパー戦隊シリーズは旧作から最新版まで。ウルトラシリーズは昭和がメイン)を中心に、ゲームに書籍にチョコボールなど、大好きなものに囲まれた秘密基地のようなブログです。インスタでは、特撮ヒーローのイラストも描いているので、よかったら覗いてみてください。イチオシのライダーは『W』。マスク割れアイコンが目印。僕と握手!

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