『ウルトラQ』第13話感想|ガラモン(ガラダマ・モンスター)初登場

雷堂

1966年3月27日放送『ウルトラQ』第13話「ガラダマ」(監督:円谷 一 脚本:金城哲夫)

隕石と共に現れる宇宙からの侵略者、という設定は、SFではテンプレのような設定である。しかし、単に侵略者が現れる、といった単純な図式でないことが面白い。1960年代の日本において、たった30分程度の特撮番組でこれほどのクオリティ(技術としてはもちろん、一つの物語として)の作品を作っていたことには驚く他ない。

しかも、今回登場する怪獣は、歴代ウルトラシリーズで間違いなくトップ10に入るほど有名な「ガラモン」である。ウルトラシリーズは、怪獣や宇宙人を使いまわすことで有名だが、そこには予算の問題だけでなく、時代を超えて愛される、優れたデザインの遺産を数多く抱えていることも意味する。

お世辞抜きで、初期ウルトラシリーズの怪獣や宇宙人には素晴らしいデザインが多い。後進は、これらを超えるデザインを目指さなければならないわけで、それはそれは大変なご苦労があるはずである。

そんな歴史的遺産・ガラモンが初登場する物語の見どころを中心にレビューする。最後までおつきあいいただければ幸いだ。

目次

キャスト

ここでは今回のキャストをご紹介する。

万城目 淳

万城目 淳

佐原健二

戸川一平

戸川一平

西條康彦

江戸川由利子

江戸川由利子

桜井浩子

一の谷博士:江川宇礼雄

大木先生:福田豊土

東南大学物理学研究室・植田:富田浩太郎

長谷先生(守の担任):新田勝江

由美:平井三般子

綾子:若原啓子

助手A:川村和彦

助手B:古山桂治

助手C:辻本勝義

守(チルソナイトを発見した少年):南谷智晴

武:小林志津雄

毎日新報記者:鈴木泰明

満:古谷 徹


今回登場のキャストの中で特筆すべきは、満という少年を演じている役者さん。あの、古谷 徹さんなのである。『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイといえば、知らない人はいないだろう。しかし、少年時代の古谷さんが『ウルトラQ』に登場していたことは知らなかった。

2つのガラダマ

今回、重要な役割を果たすのがタイトルにもある「ガラダマ」である。「ガラダマ」とは何なのかといえば、劇中に登場する弓ヶ谷地方で「隕石」を指す方言だとされている。実際には、そんな方言はない(はずだ。私が調べた限りでは出てこなかった)。

「ダマ」は「球」のことだろうし、「ガラ」は隕石が落下してくる時の音(ガラガラとか)だろうか? 私は隕石が落下してくるシーンに出くわしたことはないけれど、それなりの質量を持ったものが凄いスピードで空気を切り裂くのだから、それなりの轟音はするだろう。本当にそんな方言があるかも? と思わせるワードチョイスはさすがとしか言いようがない。

登場するガラダマは2つ。

1つは電波を発する小型のもの。

もう1つは、ガラモンの入っている巨大なものである。

巨大な隕石から怪獣が現れるというのは、よくある話で新鮮さは感じられないのだが、その前に落ちてきた小さな隕石が宇宙人からの指示を伝える装置だったという展開には感心した。

画像引用元:ウルトラQ

ガラモン

別名:隕石怪獣

身長:40m

体重:60,000t

出身地:チルソニア遊星

電子頭脳からの誘導電波を受けて、7万馬力の怪力で破壊工作を行う。全身を覆う棘がアンテナの役割を果たす。

ガラモンは、宇宙人が創り上げた人工知能を持つロボットらしい。醜い生物にしか見えないけれど、動いている時には機械らしき効果音が入る。そのロボットを誘導するため、まずは目的地である地球に、電波を発する装置を送り込んだというのだ。

これを目印に、怪獣を乗せた隕石は迷うことなく地球に到着することができる。あとは、その装置を使って指示を送り続ければ、怪獣を意のままに操ることが可能だ。これなら自分たちが危険を冒して現地に行く必要がない。ひとしきり怪獣を暴れさせて地球を壊滅させたところに、のほほんと降り立てば良いという、何とも賢いやり方である。

今回、裏で糸を引く宇宙人は謎のままだが、第16話でガラモンが再び登場する際には、その姿が明かされる。のちに、バルタン星人の元になったという不気味なデザインは見ものだ。別記事にまとめておくので、ご興味があれば、そちらもお読みいただきたい。

大怪獣を止めろ!

物語はのどかな山間の村・弓ヶ谷で、守という少年が、空からふわふわと不思議な石が降ってくるのを見つけたところから始まる。この石、大きさからは想像できないほど軽く、子どもでも軽々と持ち上げられるくせに、めちゃくちゃ頑丈ときている。石でも鉄でもない、この謎の物体は「チルソナイト」と呼ばれる謎の合金で、東南大学物理学研究所に持ち込まれることになるのだが、電波まで発していることが明らかとなる。

このことに興味を持った一の谷博士は、万城目と戸川を引き連れ、ヘリで弓ヶ谷へと向かう。

画像引用元:ウルトラQ

到着した3人の目の前で、巨大なガラダマが湖に落下。その衝撃で湖は完全に干上がってしまう。

さらにそのガラダマから、巨大な怪獣が誕生する。これがガラモンである。猿にも魚にも見える顔を持ち、全身はヒイラギの葉にも似たトゲで覆われている。骨のような手は古典的な日本の幽霊のように前にだらりと下げられている。手を揺らしながら二足歩行する様は、怖いというよりユニークだ。

しかし、リアルにこんなものが現れたら恐怖しか感じないだろう。事実、先ほどの衝撃で、湖に浮かんでいた一艘の船が完全に座礁。そこに乗っていた若い二人の女性は、身動きも取れないうえに、巨大な怪獣が近づいてくる様を見て、ただただ怯えることしかできない。

それを発見した万城目たちは決死の救出を試みる。迫り来る巨大怪獣を目前に、縄梯子で高台へと逃れる様は、なかなかスリリングだ。

時を同じくして、東南大学物理学研究所では、チルソナイトについてのさまざまな実験が続けられていた。

研究所を訪れていた由利子は、チルソナイトが発する怪電波こそが怪獣を操っているのでは? と予想する。最初は鼻で笑っていた研究者たちだが、切削用のカッターでチルソナイトを切りつけると、怪獣の挙動は明らかにおかしくなる。ただし、これは我々視聴者にわかるだけであって、劇中で研究者たちはその様子に気づいていない。

常に現地を映し出す、ご都合主義のモニターなど無いのだから、確かにわかるはずもないのだが、こんな様子で、どうオチがつくのかと思っていたら、何をどうやっても傷ひとつつけることのできないチルソナイトを見た由利子が、それなら電波を遮断してみたら? と提案したことがきっかけとなり、物語は一気に収束するのだった。

画像引用元:ウルトラQ

実際に見たことはないが、昔、料理にハエなどがたからないようにする(?)網戸みたいな素材でできたカバーをかけてやると、途端に動きを止める怪獣。口からドロリとした液体を垂れ流し、そのまま地面に倒れ込む。

石坂浩二さんの「これで遊星人の侵略が終わったワケではありません」的なナレーションが後を引く。既に50年以上も前の作品だが、特撮の古典としては押さえておくべき作品だ。気になった方は、是非チェックしていただきたい。

本作を試聴するには

ちなみに、『ウルトラQ』に限らず、現在ウルトラシリーズを視聴したいなら、「TSUBURAYA IMAGINATION」一択である。他の動画配信サービスをオススメしているサイトもあるが、それらは単に、そっちのサービスを紹介したほうが儲かるからである。

「TSUBURAYA IMAGINATION」はどれだけオススメしても、円谷プロからは1円すら貰えない。しかし、ウルトラシリーズの本家・円谷プロが運営している以上のサービスがあろうはずがないのだ。

ただし、他のサービス同様、これを見るにはお金がかかる。いわゆるサブスクというやつだ。なので、実際に加入している私の本音をまとめてみた。これから「TSUBURAYA IMAGINATION」を使ってみようかと迷っているなら、後悔する前に、是非一読していただきたい。

雷堂

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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