キラメイジャー・スピンオフ『ヨドンナ2』辛口レビュー【ネタバレ】

雷堂

「TTFC(東映特撮ファンクラブ)」で限定配信されていたキラメイジャーのスピンオフ『ヨドンナ』の続編『ヨドンナ2』の配信が開始された。

前回はメイド喫茶が舞台になっていたこともあり、大勢のメイドさんが登場した。中にはセクシー女優さんもキャスティングされていたし、ヨドンナ様もメイド姿を披露したりして、「セクシー」さもウリだったが、本作は前作と比較するとかなりおとなしくなっている。だから「セクシー」さ目当てに視聴すると、ちょっとガッカリするかもしれない。

もうひとつのウリである「バイオレンス」は健在だが、これも前作の方がエグい表現が多かった。しかし、だからダメだと言いたいわけでは全然なく、それより何より、さらに磨きをかけたアクションシーンと、視聴者の感情を揺さぶる1本のドラマとしてきちんとまとまっていることを特筆したい。

とにかく実際に見ていただきたいので、物語の核心にはなるべく触れず、しかし興味をそそられるようなネタバレはしていきたい。どうぞ最後までお付き合いください。

目次

スタッフ・キャスト

ここでは主要スタッフとキャストをご紹介します。

ウィキペディアに記載のある方はリンクを貼っておくので、他の参加作品もチェックしてみてください。

【スタッフ】

監督(アクション監督兼任):坂本浩一

脚本:井上テテ

音楽:松本淳一

【キャスト】

ヨドンナ:桃月なしこ

柿原瑞希:西葉瑞希

柿原章介:岸 洋佑

西之浦矢那子:伊澤彩織

嶋佐:島津健太郎

熱田充瑠:小宮璃央(友情出演)

射水為朝:木原瑠生(友情出演)

モーズの声:神谷浩史

ヘルンの声:江川央生

江ノ島徹:神尾 佑

鯨咲秀樹:石黒英雄

【エンディング曲】

「キラフル ミラクル キラメイジャー」作詞:藤林聖子 作曲:岩崎貴文 編曲:籠島裕昌 振付: 歌:出口たかし

やっぱりド派手なアクション

前作『ヨドンナ』でも見どころだったアクションシーンはさらに磨きをかけたものになっている。

バトルシーンは2回。

1回目の口縄組構成員たちとのバトルでは、大人数を相手にスピード感あふれる立ち回りを披露。息もつかせぬというのは、まさにこのこと。

ヨドンナ2バトル
画像引用元:ヨドンナ2

途中、ヨドンナが憑依している柿原の姿でも立ち回りを見せるが、アクションのキレは明らかにヨドンナが上。

柿原瑞希バトル
画像引用元:ヨドンナ2

緊張感ある表情は、必死さの現れかも知れないが、いずれにしてもヨドンナ役の桃月さんの熱演が光る。

ヨドンナ
画像引用元:ヨドンナ2

前半戦では格闘術で相手を圧倒し、後半戦ではガンアクションまで披露。『バカボン』のおまわりさんのようにバンバン撃ってくる相手を、全て1発で次々に行動不能にしていく様は『ザ・ファブル』のようで、お世辞抜きにカッコいい。

ヨドンナのガンアクション
画像引用元:ヨドンナ2

1回目のバトルシーンの最後には、派手な爆発シーンまで用意されている。東映の本気がうかがえる。

ヨドンナ2爆発シーン
画像引用元:ヨドンナ2

2回目は、前回のクライマックスだった、口縄組の用心棒・西之浦との再戦に始まり、ついにヨドンナたちの前に姿を現した口縄組組長・鯨咲とのバトルであるが、西之浦とのバトルはあっという間に片付いてしまう。

ヨドンナVS西之浦
画像引用元:ヨドンナ2

すると、そこに居合わせたモーズ(ヨドンナが現世に現れるきっかけを作ってしまった魂管理局員)が、ヨドンナのムチを使って鯨咲をパワーアップ。

ヨドンナのムチでパワーアップする鯨咲
画像引用元:ヨドンナ2

スーパーサイヤ人のようになった鯨咲とヨドンナの最後のバトルが始まる。ここでは、これまでの格闘術はもちろんだが、さらに東映特撮らしいエフェクトもてんこ盛り。

鯨咲
画像引用元:ヨドンナ2

喜怒哀楽

前作に引き続き、「喜怒哀楽」の感情を柿原から学ぶヨドンナ。

実の親のように慕っていた刑事・江ノ島に裏切られ、絶望する柿原を見て、ヨドン皇帝に裏切られた過去を思い出し「哀しみ」の感情を知るヨドンナ。

哀しみを知るヨドンナ
画像引用元:ヨドンナ2

ピンチの柿原を救うため、迫り来る口縄組と江ノ島に怒りの感情を抱くヨドンナ。

怒りの感情を知るヨドンナ
画像引用元:ヨドンナ2

前回知った「楽しい」という感情に加えて、それらの感情を次々と手に入れていく。

喜びの感情を知るヨドンナ
画像引用元:ヨドンナ2

手放した生命、手に入れた絆

柿原のピンチを救い、絆を深める二人だったが、柿原の生命エネルギーは粛々とヨドンナへと取り込まれ続けていたため、徐々に柿原の身体に異変が起こり始めるが、そこに現れたモーズによって、柿原の体調不良の原因は、ヨドンナによるものだということが明かされる。

モーズとヨドンナと瑞希
画像引用元:ヨドンナ2

騙されていたと憤る柿原に、戸惑いを見せるヨドンナ。当初は生命エネルギーを奪う相手でしかなかった柿原に対して、完全に情が湧いている。

ヨドンナと瑞希
画像引用元:ヨドンナ2

あとわずかで柿原が消え、ヨドンナが復活できるというタイミングで、柿原を救うために生命エネルギーを奪うホースをぶち切るヨドンナ。他人のために自分の生命を犠牲にした瞬間だ。これはもう悪の幹部どころか、ヒーローの姿である。

ヨドンナ2
画像引用元:ヨドンナ2

とりあえず実体化はしたものの、残された時間はほんの数分。

そのわずかな時間の中で口縄組の脅威を退け、柿原兄妹を救い出すヨドンナ。

最後は柿原を救い出したことに「嬉しさ」を覚え、消滅していく。

消えゆくヨドンナ
画像引用元:ヨドンナ2

生命を賭けて、絆を守った名シーンである。

更なる続編は?

「喜怒哀楽」を覚えたヨドンナは、あの世へと舞い戻る。

復活はできなかったが、消滅もお預け。魂管理局のヘルンは、「もうひとつ、”愛”を知ることができたなら復活させてやろう」と更なるお題を与える。

微笑むヨドンナ
画像引用元:ヨドンナ2

いかにも続編がありそうな終わり方をするけれど、個人的にはこれで終わって良いと思う。

最近のスピンオフ作品の中では群を抜いて面白かったので、続きを見たい気もするけれど、この腹八分目くらいの余韻こそが有終の美に繋がるのだと思う。お腹いっぱいになるのは、なんだか違う。

物語には余韻が必要だ。人間なんて全てをキレイに終えて死ねるわけではないのだ。道半ばで唐突にプツリと途切れてしまうことの方が圧倒的に多いはずで、それでもこの世界の物語は続いていく。だからこそ、物語には「とりあえずの終幕」は必要だけれど、「完璧なる終わり」なんてものはあり得ないと思う。

もちろん、この物語はこれ以上作りませんという製作者の意思表示は必要だろう。しかし、視聴者の中ではどこか続いている。生きている。そういった物語こそが、「残る」物語なのだろうと思うのだ。

たかがスピンオフと思って見始めた本作だったが、このまま我々の脳内で、どことなく続いて行きそうな、続編が出て欲しいような出て欲しくないような、そんな曖昧なままにしておいて欲しいと思うくらいには素敵な作品だったと思う。

ただし、前作同様、キラメイジャーのスピンオフとはいえ、銃で人を撃つとか脚を折るといった過激な描写も多いので、小さなお友達には、なかなかオススメしづらい。大きなお友達は、是非見ていただきたい。

雷堂

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

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