『快傑ズバット』第16話「殺しのぬれぎぬ 哀しみの健」(監督:田中秀夫 脚本:長坂秀佳)をレビューします。
これまで1話完結型だった『快傑ズバット』初の2話完結エピソードの前編。知能犯・ナチスジャガーの作戦に絡め取られ、殺人犯の汚名を着せられてしまう早川 健。まさかの偽者まで登場する見どころの多い回をしっかり振り返ってみよう。最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここではキャストをご紹介します。本作初登場でウィキペディアに記載のある方はリンクを貼っておきますので、他の参加作品も是非チェックしてみてください。
【キャスト】
快傑ズバット/早川 健:宮内 洋
飛鳥みどり:大城信子
寺田オサム:中野宣之
大月春彦/ナチスジャガー:倉石 功
大月しほり:大山いづみ
橋本刑事:滝川 潤
バーテン左京次:菊地 太 ※本記事では、当時のこの表記に従い、「バーテンダー」ではなく、「バーテン」と記します。
綾小路:相原巨典
五条:大東梁佶
松島勇作:倉石一旺
下田署長:相沢治夫
安田刑事:宮田 光
首領L:はやみ竜次
ナレーター:青森 伸
ナチスジャガー
白昼、傷だらけで街を逃げ惑う一人の男。彼の名は松島勇作。「ナチス連合会」という、なんとも物騒なネーミングの組織を追っている刑事だった。
これまで、全くと言って良いほど悪事の証拠を残さなかったナチス連合会の尻尾を掴んだところで、逆襲に遭い、証拠隠滅のために消されようとしていたのだった。
そのナチス連合会のボスがナチスジャガー。
ドンキのパーティーグッズばりにチープなマスクと、顎に描かれたハーケンクロイツ(逆十字)が目印。
そんな松島刑事の窮地を救ったのは、ギターをエア弾きながら登場した早川 健である。
用心棒・バーテン左京次
ナチスジャガーの用心棒がバーテン左京次。顔色の悪さが、どこかジョーカーっぽい。しかし、早川による左京次の紹介がどこかおかしい。「凄腕の大酒飲み。しかし、その腕前は日本じゃあ2番目だ」??? バーテン=大酒飲み? 凄腕=何の? と、疑問符ばかりが頭を駆け巡る。
兎にも角にも、いつも通りナンバーワンの腕前を賭けた勝負が始まる。飲み比べでもするのかと思ったら、シェイカーを使うらしい。ようやく、少しバーテンぽくなったなと思ったら、シェイカーの使い方が完全に頭おかしい。丁半博打のツボみたいな使い方で、無造作に中に放り込んだサイコロ全てを1の目で揃えて積み上げてみせるが、バーテン関係なし。
対する早川は、シェイカーに無造作に放り込んだサイコロ全てを1の目に揃えるだけでなく、1個1個を斜めに積み上げるという異次元テクをみせる。バランスがどうとかいうレベルではない。瞬間接着剤を使ったって、こうはならないだろうし、こちらもバーテンは関係ない。
通常ならこれで早川の勝利となるのだが、諦めの悪い左京次は、当たり前のように涼しい顔で、次の勝負を開始する。今度は放り投げたカクテルグラスとサイコロを積み上げるという技を披露。もちろんサイコロは1のゾロ目である。確かに凄いが、またもやバーテン無関係。カクテルグラスを積み上げるなら、シャンパンタワーくらい作って欲しかったが、どうしてもサイコロから離れられないようだ。
早川もグチひとつ言わず、カクテルグラスとサイコロを放り投げ、先ほどと同様、一個一個のサイコロを斜めに積み上げてみせる。もちろんサイコロは1のゾロ目。早川の圧勝だが、やはりバーテンは無関係。
ナチス連合会から救い出した松島刑事を運び込んだのは、松島の学生時代の友人・大月春彦の家。彼は、まだ若いにも関わらず、町長として活躍している男だった。そしてその妹・しほりは、松島と婚約中だったという。
不用心すぎる早川
大月家を後にした早川の前に、東条刑事が現れる。なんでも、先輩刑事が、ナチス連合会の悪事の一部始終をマイクロフィルムに収めることに成功したらしい。その刑事の名を聞いて、早川は青ざめる。先ほど助けた松島だったからだ。
大月家に駆け戻った早川は、銃声を聞きつける。松島が寝ているはずの部屋からのようだ。ただならぬ気配を感じ、真っ暗な部屋に飛び込んだ途端、部屋の奥から何かが早川に向けて投げられる。思わず受け取ったそれは拳銃だった。
驚いて投げ出すのかと思いきや、律儀にその拳銃を持ち続ける早川。見ると、松島刑事が脳天を撃ち抜かれて絶命しており、床には大月兄妹が気を失って倒れていた。そこに警察が駆けつけるのだが、銃を持ったままの早川は、当然、警察にしょっぴかれてしまう。
取り調べを受けていた早川だったが、3人の刑事をボコって脱走。松島の墓参りをしている大月兄妹を訪ねる。そこに、複数のフォークが飛んでくる。思わずそれを手にした早川だったが、その横には、先ほど飛んできたフォークで傷つき、苦しむ大月春彦。フォークを手にして呆然とする早川をボコる大月の取り巻きたち。
銃といい、フォークといい、早川の不用心さが際立つ回である。こんなにマヌケだったっけ?
ニセ早川健 vs ズバット
「ナチスジャガーには指一本触れさせない」と豪語した早川だったが、春彦があっさりと傷つけられたことで、妹のしほりの信頼を失い、遠ざけられてしまう。
これら一連の流れは、ナチスジャガーの作戦だったようだ。殺人の濡れ衣を着せ、警察に追われ、世間からも目の敵にされるように仕組んだというわけだ。これには首領Lも大喜び。「早川健が殺人犯人の濡れ衣を着て、一刻も早く死刑にされる日を待っているぞ」と、めちゃくちゃ他人任せ。悪の大組織たるもの、果たしてそれでいいのだろうか?
そんなしほりの前に、性懲りもなく早川が現れた・・・と思ったら、いきなり銃を乱射。『天才バカボン』に登場したお巡りさん並みだ。明らかに様子がおかしい。
そこに轟くエンジンの爆音。ズバッカーだ。公園の木立の中を爆走してくる。良い子はマネしちゃいけません。
「殺人の濡れ衣を着せ、あまつさえ、しほりさんの命を狙っての犯行、許さん!」
まさかのズバットvs早川健。白いギターに仕込まれた刀を使って襲いかかってくるニセ早川に苦戦するズバット。ズバットの変身リミットが残り1分を切った時、そこに割って入ってきたのがバーテン左京次。飲まなきゃやってられないのか?
「1分じゃ、俺は倒せんぜ?」と、いつもの死亡フラグをおっ立てるが、その言葉どおり、ズバットは敗れてしまう。ボロボロになり、洞窟に身を潜める早川に、ナチスジャガーの魔の手が迫る・・・!
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それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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