1977年2月23日放送『快傑ズバット』第4話「涙の敵中突破」(監督:奥中惇夫、脚本:長坂秀佳)
早川健、舟でキターーーーー!!白い舟で白いギターーーーー!!
相変わらずフリースタイルで旅を楽しむ早川だが、目的はあくまでも親友を殺した犯人を見つけて仇を討つこと。決して旅そのものを楽しんでいるわけではない・・・はずだ。
今回は山奥の村でひと暴れ。後継者のいない過疎の村に住む若者・まことの、ほのかな恋の物語でもある。5つの見どころに絞ってレビュー。最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは今回のキャストをご紹介。本作初登場でウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておくので、他の参加作品も是非チェックしていただきたい。「え? あの人が出てたの?」といった発見があるかもしれない。
【キャスト】
快傑ズバット/早川 健:宮内 洋
飛鳥みどり:大城信子
寺田オサム:中野宣之
沢村 誠:菅野直行
ワルツ・リー:大杉雄太郎
勘三:高杉 玄
村人A:久地 明
村人B:佐川二郎
村人C:高橋晴雄
首領L:はやみ竜次
ナレーター:青森 伸
東條進吾:斉藤 真
空気ヒロインが示した存在感
本作のヒロイン・飛鳥みどりが旅の途中で倒れてしまうところから物語は始まる。高熱が原因らしい。しかし、ヒロインのわりに、全然登場もしないし、活躍する様子もない。いわゆる「空気ヒロイン」だが、第4話にして、ついに出番がやってきた。
そこに通りかかったのは一人の青年。彼の名は、まこと。山奥の村で農業を営んでいる。
みどりを看病するために自宅へ連れて帰るまことだが、地元のヤクザ「鬼勘一家」が待ち構えていた。鬼勘一家は、この村にある全ての家と土地を買収しようと企んでおり、頑なに拒むまことを脅しに来たのだった。そして、まことの隣で倒れているみどりが目をつけられてしまう。
まことのとばっちりを受け、木に吊るされてボコられるみどり。ただでさえ具合が悪いのに、踏んだり蹴ったりとはこのことだ。扱いが、ヒロインではないような・・・。
この時は、ギターの音色と共に現れた早川に救われるが、その後、鬼勘一家に囚われた早川を助け出そうと無茶をして、重傷を負ってしまう。久々に存在感を示したものの、ただの足手まといになってしまった。健気さだけでもアピールできたのは僥倖だったろう。
用心棒 ワルツ・リー
今回登場した鬼勘一家の用心棒はワルツ・リー。元ネタは「ブルース・リー」。ブルースを音楽のジャンルとして捉え、そこをワルツに置き換えたというセンスに震える。
しかし、どこから見てもジャパニーズ。欧米人の目にはアジア系が全部一緒に見える、といった錯覚を狙ったか?
拳法の達人らしいが、早川に「日本じゃ2番目の拳法使い」と煽られる。いつもどおりの展開である。
「じゃあ、日本一は誰だ?!」といきり立つワルツ・リーに、自分を指差す早川の笑顔は、もはや爽やかさを通り越して、松岡修造のようだ。この笑顔で挑発されたら、さぞムカつくだろうと他人事ながら思う。
そして始まる「拳法対決」。
石灯籠の真ん中のパーツを一撃で打ち抜くリー。しかも打ち抜いたパーツは真っ二つ。
対する早川は、拳撃で石灯籠を逆さまにしてしまうという異次元技を披露。しかも石灯籠は縦に真っ二つ。疑う余地なく圧倒的日本一。
鬼勘一家・鬼の勘三
今回のボス・鬼の勘三。
やはり、ズバットのボスは顔の左側を隠すのがお好きのようだ。
単なる田舎やくざかと思われた鬼勘一家も、実は悪の大組織「ダッカー」の一員。上納金のためにこの村を我が物にしようと必死。この村の地下には石油が眠っているらしく、村人たちを賭場に誘い込んではイカサマ賭博で土地の権利証を奪うという随分まわりくどいやり方をしていた。
思うように計画を進められない鬼の勘三に対し、ダッカーの首領Lが巨大なブーメランをかざして吠える。
「誰であろうと、幸せそうな奴らは皆殺しにしてやるのだ!」
首領というより、通り魔に近い思想の持ち主。欲求不満があり余る。
まこと、はたけに死す
早川は、鬼勘一家のイカサマ賭博を見破るが、そのまま捕らえられてしまう。その早川を助けるため、みどりは病み上がりの身体でアジトに向かうが、待ち構えていたワルツ・リーにボコられて重傷を負わされてしまう。
みどりを病院に連れていきたいが、村でクルマを所有しているのは鬼勘一家だけ。どうしてもみどりを助けたいまことは、自宅の権利証と引き換えにクルマを借りようと鬼勘の元へと向かう。すっかりフォーリンラブな様子だ。
そんなまことの前に早川が現れる。「まことくん、クルマは用意した」
さすが早川。空も飛べるズバッカーで、一刻を争う容態のみどりを助けるつもりだ。
と思ったら、まさかのステーションワゴン。
みどりの命より、自分がズバットである秘密を守りたいらしい。どうせならズバットとして助けに来ればいいのに。
そんな事情をまるで知らないまことは、みどりのために自分が愛情込めて耕した畑を踏み越えてショートカットを企てるが、鬼勘一家はまさかのバズーカでまことを殺しにかかる。
みどりのため、自らを盾にしたまことは、あえなく爆死。
まこと、はたけに死す。
「シャ乱Q」の話みたいだが違う。ズバットの話だ。
ズバット参上!
鬼勘一家の砲撃の中を掻い潜るズバッカー。このシーンだけに結構な尺を使う。ズバットは変身後、5分経過したら身体がバラバラに吹き飛んでしまうというのに。
「ズバット参上。ズバット解決。人呼んで、さすらいのヒーロー!!快傑・・・ズッバァァァット!!」
呼ぶどころか、みんな初対面である。噂すら知らないかもしれない。
「村人たちを博打で誘い、土地を巻き上げ、あまつさえ罪もない青年を殺した鬼の勘三・・・許さん!!」
今回も「あまつさえ」が光る。武器のムチを振るい、敵をなぎ倒すズバット。最後はボスの鬼の勘三をボコって、「飛鳥五郎という男を殺したのは貴様だな?」とお約束の詰問。
「俺じゃない!」
違うとわかった途端、「ズバットアッタァァァック!!」
必殺の「股間にもんまり」攻撃で勘三を行動不能にするズバット。
ここまでできっかり5分。「どん兵衛」も食べごろ。変身を解除し、その場を立ち去るズバット。
現場に駆け付けた警察の前には、行動不能となって倒れる鬼の勘三と、残された1枚のカード。
快傑ズバットを視聴するには
「早川さーーーーーん!!」
川を滑る舟に向かって声を上げるのは、命がけで早川を助けようとしたのに、やはり空気ヒロインに逆戻りのみどりと、今回は途中でふらっと現れたオサム。オサムはみどりと行動を共にしていたのではなかったのか? ひょっとしてコイツが飛鳥五郎を殺した張本人・・・だったとしたら、結構なサスペンス巨篇だが、残念ながらそんなことはない。
そんな二人を一顧だにせず、早川は自慢のギターをエア弾きながら、船頭さんの手で何処かへと運ばれて行くのだった。
次回予告では、「ズバットの真似は危ないですから、絶対にしないよう、気をつけましょうね」とちびっ子たちに釘を刺す。
「コンコンコンコン釘を刺す」のは山崎ハコ。「呪い」は夜中に一人で聴くと眠れなくなるような曲だが、ズバットを観た後はぐっすり眠れる。
『快傑ズバット』は全32話。中途半端な話数だが、これは打ち切りになったため。視聴率はとても良かったのに打ち切られた理由は、子どもより大人にウケたため、玩具が売れなかったということらしい。なんとも世知辛い話だが、「TTFC(東映特撮ファンクラブ)」なら月額960円(税込)でいつでもどこでも視聴可能だ。アマプラなどで、1話ずつレンタルするよりずっとおトクなのでチェックして欲しい。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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