2021年5月9日放送『機界戦隊ゼンカイジャー』第10カイ「お昼も夜でもブルースカイ!」(監督:中澤祥次郎 脚本:香村純子)
6人目の追加戦士として登場したゾックス・ゴールドツイカーとその妹たち。
前回、介人との勝負に敗れたゾックスたちは、潔く負けを認め、この世界での掠奪行為はしないと約束もした。しかし、まだまだマイペースな界賊ライフは健在。いったい、何がそうさせるのか?
これから視聴するという方の楽しみを奪わない程度のネタバレをしながらレビューしてみたい。最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは今回のキャストをご紹介。本作初登場でウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておくので、他の参加作品なども是非チェックしていただきたい。「あの作品に出てた人?」といった発見があるかもしれない。
【キャスト】
五色田介人/ゼンカイザー:駒木根葵汰
ジュラン/ゼンカイジュラン(声):浅沼晋太郎
ガオーン/ゼンカイガオーン(声):梶 裕貴
マジーヌ/ゼンカイマジーヌ(声):宮本侑芽
ブルーン/ゼンカイブルーン(声):佐藤拓也
ゾックス・ゴールドツイカー/ツーカイザー:増子敦貴
セッちゃん(声):福圓美里
カッタナー(声):鈴木峻汰
リッキー(声):松田颯水
ボッコワウス(声):中田譲治
バラシタラ(声):乃村健次
イジルデ(声):竹田雅則
ゲゲ(声):鈴木達央
マヒルワルド(声):田丸篤志
ステイシー:世古口 凌
フリント・ゴールドツイカー:森 日菜美
カッタナー・リッキー(写真):須東煌世
レポーター:竹森まりあ
五色田ヤツデ:榊原郁恵
マヒルワルド
今回登場した怪人はマヒルワルド。
マヒルトピアという世界の力で複数の太陽を生み出し、永遠に太陽の沈まない世界を作り出すことができる。
『ジョジョの奇妙な冒険』第3部に登場した「太陽」のスタンド使いの上位互換みたいな感じ。ずーっと昼間なので、みんな眠れず、衰弱死してしまうというのだが、全然意味がわからない。劇中では、みんなが「まだ明るいから仕事が終わらない」とか「まだ明るいのに、晩御飯なんておかしい」とか口々に言うのだけれど、時計で時間管理しないことには違和感しかなかった。太陽の高さで時間を測るなんて、原始時代かよ? という感じである。
手にした武器はマヒルーぺ。巨大な虫メガネだ。おそらく誰しも小学生の頃、虫メガネで太陽光を集めて紙を焼くという実験を理科の時間にやったことがあると思うが、要するにアレと一緒。太陽光を集める、といった描写はないものの、強力なレーザー光線を発することができる。
複数の太陽を出現させたあと、地下道(?)に身を潜めているところ(人類が衰弱死するのを待っていたのだろうか?)に、歌いながらゾックスが現れるシーンは、どこか岩戸に閉じこもった天照大神を引き摺り出すために歌い踊った、なんて神話を思い出した。いや、こちらは引き摺り出すどころか、自ら隠れ家に攻め込んでいるのだが。
水しぶきを跳ね上げながら、逆光の中で舞い踊るゾックスが素敵。
界賊たちの目的とは
自分たちの目的のためなら、手段は選ばず、周りに被害が及ぶことも気にしない。傍若無人に振る舞い続けるゾックスたちの目的とは何なのだろう? ゾックスたちのアジトにまで押しかけ、詰め寄る介人に苛立ったフリントがその理由を明かす。
それは、リッキーとカッタナーの呪いを解くことだった。
以前、潜り込んだ「SDトピア」で呪いにかけられて今のSDキャラにされてしまった二人。その呪いを解くには、SDトピアで呪いの解き方を探さなければならないのだが、そのSDトピアはトジルギアに封印されてしまっている。だから、なんとかしてトジテンドに潜入するか、SDトジルギアを破壊するかしようとしていたのだ。
介人も言っていたように、二人とも元からこういう特異な姿をしていると思っていたのは私だけではないはずだ。実の弟ではなく、“弟分”だとばかり思っていた。二人の「兄貴!」という呼び方も、海外ドラマなどでよく見る「ブラザー」みたいなものだと思っていたが、本当に血の繋がった兄弟だったらしい。
ただ好き勝手に暴れているだけだと思ったが、実はきちんとシリアスな理由があったのだ。それを知った介人は複雑な表情を見せる。
介人たちの覚悟
街の人たちに累が及ぶことも顧みず、マヒルワルドと戦いを繰り広げるゾックス。
そんな光景を目にした介人はゾックスを批判するかと思いきや、「お前はトジテンドを倒すことに専念すればいい。街の人たちは、俺たちが守る!」と宣言する。SDキャラに変えられてしまった弟たちを、なんとしても助けたいと焦るゾックスたちの気持ちを汲み、自らその尻拭いをするという、なんとも介人らしい決意表明。それにつきあってくれるジュランたちも相当なお人好しである。
今回もゾックスがフォームチェンジでトドメを刺す。前回はシンケンフォームだったが、今回はオーレンフォーム。必殺技は「超力スターナックル」。超古代文明をモチーフにしていた『超力戦隊オーレンジャー』を元にしているだけあって、ピラミッド状のエフェクトがいかにも、という感じ。フォームチェンジの際に見せるダンスなどはコミカルだが、その能力は本物だ。
お互いにぶつかりながら、それでも完全否定するワケではなく、あくまでもお互いを認め合いながら歩んでいく介人とゾックス。何も知らない他人同士が絆を結ぶというのは、はじめから何もかもピッタリである必要はない。むしろ、そんな出会いはレア中のレアであり、大抵はそんなものではない。こんな風に文章にすると、なんだか堅っ苦しくてイヤになるが、介人とゾックスという二人のヒーローの姿を見た子供たちが、なんとなくそういったことを感じ取ってくれたらいいな、と思う。
コメディ要素強めなため、パッと見、いい大人には敬遠される雰囲気もある『ゼンカイジャー』だが、実はこうしたヒーローらしい要素もぎゅっと詰め込まれているのだ。番組開始早々に離脱してしまった人は、是非追っかけ視聴してみて欲しい。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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