2022年2月6日放送『機界戦隊ゼンカイジャー』第46カイ「ゲゲっと飛び出た神のちょっかい!」(監督:加藤弘之 脚本:香村純子)
ゲゲに意識を乗っ取られ、自らを「神」と名乗り出したステイシーはどうなってしまうのか? 最終決戦を前に、一足お先に離脱してしまったゴールドツイカー一家の行方は? 決戦前夜となる第46カイをレビュー。最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは今回のキャストをご紹介。本作初登場でウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておくので、他の参加作品もチェックしていただきたい。「え? あの作品に出てた人?」といった発見があるかもしれない。
【キャスト】
五色田介人/ゼンカイザー:駒木根葵汰
ジュラン/ゼンカイジュラン(声):浅沼晋太郎
ガオーン/ゼンカイガオーン(声):梶 裕貴
マジーヌ/ゼンカイマジーヌ(声):宮本侑芽
ブルーン/ゼンカイブルーン(声):佐藤拓也
ゾックス・ゴールドツイカー/ツーカイザー:増子敦貴
セッちゃん(声):福圓美里
カッタナー(声):鈴木峻汰
リッキー(声):松田颯水
ボッコワウス(声):中田譲治
バラシタラ(声):乃村健次
イジルデ(声):竹田雅則
ゲゲ(声):福西勝也
ニンジンワルド(声):駒東寛之
サファイアワルド(声):吉田拓真
コウモリワルド(声):櫻井慎二朗
ステイシー:世古口 凌
フリント・ゴールドツイカー:森 日菜美
男性:岡田和也(素面では初登場)
五色田ヤツデ:榊原郁恵
まさかのワルド3連発
今回はまさかのワルド3連発。
まずはニンジンワルド。
どこかで見たデザインだな、と思ったら、ダイコンワルドの色違いである。
ドラクエのスライムとスライムベスみたい。再生怪人というよりは、単なる使い回しである。予算不足でゴジラにエリマキを取り付けたジラース的な臭いがプンプンする。
しかも喋り方は、70〜80年代を席巻したあの男性アイドルを意識してるっぽい。冒頭でブルーンとマジーヌが「一本でも・・・」「ニンジン?」という会話をしていたのは前フリだったというワケだ。たのきんトリオの“た”の人。『教師ビンビン物語』のあの人だ。ジャンゴゥジャ〜ンゴ〜ゥ♪
攻撃されると「ニンジンになって子ども人気を失う」という、恐ろしさがちっとも伝わらないネタ怪人。
史上最速と言って良いほどの短時間で瞬殺されてしまう。
続いてサファイアワルド。
こちらはダイヤワルドの使い回し。先ほどのニンジンワルドより見た目の違いがわかりづらい。
サファイア・アイで攻撃されると、宝石が無性に欲しくなり争奪戦を繰り広げてしまう。ニンジンワルドに比べれば、段違いに混乱を引き起こす能力である。「輝くためにめぐり合ったと思ったのに〜」と、『キラメイジャー』を意識したセリフを最後に爆死してしまう。
そしてラストはコウモリワルド。
サカサマワルドの単なる色違い。
使い回しにもほどがあるけれど、その能力は今回登場の3ワルドの中では圧倒的ナンバーワンである。発した吸血音波を受けた者は、牙が生えて吸血鬼となってしまう。人間なら人間の血を求め、キカイノイドならキカイノイドのオイルを求める。
その際のセリフ「血ぃ吸うたろか〜」は、間 寛平さんの持ちネタである。街が吸血鬼で溢れかえるというのは、まるで人気のゾンビドラマのような展開で、普通なら大混乱が予想されるワケだが、介人たちが事前に対策を練っていたおかげで、これもあっさり撃破してしまう。「黄金のバット」という今どきの子どもたちには絶対に伝わらない武器も持ち出すが、ただのネタだった。
これら全ては、自らを「神」と名乗ったゲゲが、そのことを介人たちに信じ込ませるために行った自作自演である。「次に現れるのは◯◯ワルド」と予言した後、トジテンドに戻って、そのワルドを派遣する、という全然大したことのない仕掛け。
しかし3度も予言が的中すると、最初は「自分のことを神という人なんて信用できない」と疑っていた介人たちもすっかり信じてしまうのだった。そして、自分が創り上げた並行世界を我が物にしようとするボッコワウスを共に倒そうという「神」の声に従い、トジテンドへと向かうようだ。
彼がスーツを着替えたら
今回のキャストの中に、「男性」という役名の方がいる。役者の名前は岡田和也さん。ファンならご存知、ブルーンのスーツアクターである。最近の作品では『仮面ライダーセイバー』でデザストを演じていた、今や東映特撮になくてはならない存在である。
その岡田さんが、まさかのキカイノイドとのキスシーン。ブルーンのスーツを脱ぎ、ビジネススーツに着替えての登場。夜景の見える港で、あわや・・・というところで、ゲゲに乗っ取られ、恋人・モイモイを異空間へ送り込んでしまう。
子どもたちや、ただ付き添って見ているだけのパパママにはわからないネタだろうが、まさかニチアサでキスシーンが放送されるとか、未曾有の事態である。岡田さんのファンはドギマギしただろうし、妙な嫉妬に駆られた方もいたかもしれない。
しかし、物語的にそれより重要なのは、ゲゲが普通の人間の意識も乗っ取れることを証明したことだ。ステイシーは半分人間という設定だから、ひょっとしたらキカイノイドの要素がないと乗っ取れないのかな? と思ったのだが、全然そんなことはなかったようだ。
とすると、ここから始まる最終章でも、介人が意識を乗っ取られるとか、結構大変なことが起こりそうな予感がする。
ステイシーの悲哀
ギャグ要素多めのエピソードとなった第46カイだったが、ステイシーに関してだけはちょっと違った。
父・バラシタラを超えたい、と願ったステイシー。そこには、自分と母親を放り出した身勝手な父親を見返してやりたい、という復讐にも似た感情があったはずだ。そのたった一つの願いを叶えるために、試行錯誤し、時にはイジルデの言いなりになったりもしながら進んできたものの、まるで上手くはいかなかった。
そのことを思い出し、「もう疲れた」と、ついに介人の前で弱音を吐くステイシーに、「俺たちのところに来いよ。一緒にトジテンドを倒そう」と、綾小路翔ばりに語りかける介人。
「え?」キョトンとするステイシーに、「あんな苦しいところで、無理に頑張らなくていい」と続ける介人のセリフが泣ける。結局、この時点では意地を張ったステイシーが首を縦に振ることはしなかったが、確実にフラグは立ったはずだ。
その後、介人はヤツデにもステイシーを家に置いてくれないか? と打診するが、ヤツデは詳しい事情も聞かず、「いつでもあったかいご飯と、美味しいおやつを食べさせてやるよ」と快諾。『ゼンカイジャー』がスタートした当初は、ヒロインが主人公のおばあちゃんて、どういうこと?!と物議を醸した(今も醸しているかもしれないが)五色田ヤツデだが、こういった場面では、その年長者ゆえの懐の深さが心に染み渡る。こんなの全力で泣いてしまう。
残り3回となった『ゼンカイジャー』のどこかで、バラシタラとステイシー親子の物語が描かれるだろうが、これはその後の大団円に向けてのフラグか、はたまたステイシーの死亡フラグか、泣いても笑っても残り3回の中で答えは提示されてしまうのだ。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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