2021年5月2日放送『機界戦隊ゼンカイジャー』第9カイ「世界海賊、愉快ツーカイ!」(監督:中澤祥次郎 脚本:香村純子)
前回、介人とステイシーの戦いに横槍を入れ、ステイシーを圧倒した追加戦士・ツーカイザーとその家族の登場回。
いかにもゴールデンウィークの放送回らしい、こどもの日を意識したエピソードも、『ゼンカイジャー』の世界観に照らすとこうなる! という良い見本。いつもどおり、コミカルな要素とシリアスな要素が絶妙な配合でブレンドされている。
未視聴の方の楽しみを奪わない程度のネタバレはあり。最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
まずは今回のキャストをご紹介。本作初登場でウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておきますので、他の参加作品などもチェックしていただきたい。「え? あの人が?」といった発見があるかもしれない。
【キャスト】
五色田介人/ゼンカイザー:駒木根葵汰
ジュラン/ゼンカイジュラン(声):浅沼晋太郎
ガオーン/ゼンカイガオーン(声):梶 裕貴
マジーヌ/ゼンカイマジーヌ(声):宮本侑芽
ブルーン/ゼンカイブルーン(声):佐藤拓也
ゾックス・ゴールドツイカー/ツーカイザー:増子敦貴
セッちゃん(声):福圓美里
カッタナー(声):鈴木峻汰
リッキー(声):松田颯水
ボッコワウス(声):中田譲治
バラシタラ(声):乃村健次
イジルデ(声):竹田雅則
ゲゲ(声):鈴木達央
カシワモチワルド(声):阿部 敦
ステイシー:世古口 凌
フリント・ゴールドツイカー:森 日菜美
転売ヤー:寺本翔悟
五色田ヤツデ:榊原郁恵
世界海賊ゴールドツイカー一家
前回、登場した歌って踊れる追加戦士・ツーカイザーは、並行世界を股にかける世界海賊、略して「界賊」ゴールドツイカー一家の長・ゾックス・ゴールドツイカーだった。
その家族として登場したのが、妹のフリント・ゴールドツイカーと、二人の弟・リッキーとカッタナーである。ネーミングは、フリントの名は「フリントロック式」と呼ばれる形式の銃(『ワンピース』に登場する海賊などが持っている銃)が元となっており、カッタナー(赤い方)は『侍戦隊シンケンジャー』の力を持つことから「刀」、リッキー(青い方)は『超力戦隊オーレンジャー』の力を持つことから「力(リキ)」となっている。
フリント役の森さんは、現役大学生のグラビアアイドル。かわいらしい女性だが、勝気で言葉遣いの悪い海賊女子を演じている。
カッタナーとリッキーは、弟と言うわりに、なぜか人ではない姿をしているが、この謎はゾックスたちが世界を股にかける一つの大切な理由となっており、今後明らかにされていく。
ステイシーを追っ払ってくれたことから、介人は味方だと思って近づくが、界賊を名乗るだけあり、「欲しいものは奪う」という傍若無人な振る舞いをする。「駄菓子カフェ カラフル」でも無銭飲食をした上、店内の駄菓子類を全て奪って立ち去ろうとする。そこで介人は「俺が勝ったら、この世界を荒らすな」という、一方にしかメリットのない勝負を挑むが、“面白そうなことには頭から突っ込め!”をモットーとするゾックスは、その申し出を受けるのだった。
カシワモチ中毒者で満ち満ちた世界
カシワモチトピアという狂気の並行世界の力を持つ怪人・カシワモチワルドが登場。その名のとおり、柏餅をモチーフとしたマスクが特徴。二つに折り畳まれた餅の隙間からあんこが覗き、その中に一つ目が光る。
このカシワモチワルドの声を担当しているのは、声優の阿部 敦さん。人気アニメ『とある魔術の禁書目録』の主役・上条当麻を演じていたあの人である。今回、その手に宿すのはイマジン・ブレイカー(幻想殺し)ではなく、柏手砲という技だが、不発で終わるという、なんとも間の抜けた怪人を演じている。語尾に「〜カシワモチ。」とつくのは本作に登場するワルドではお約束だが、『とある〜』の登場人物たちも語尾に特徴があった気がする。何の関係もないだろうけれど。
カシワモチワルドの能力によって、ひとたび柏餅を食べれば、その虜となり、柏餅を食べることしか考えられなくなる、という。柏餅中毒である。世の中には様々な中毒者が存在するが、これほど平和な中毒は他になさそう。と思ったが、柏餅を食べるためには手段を選ばない暴徒と化すというのだから、なかなか大変である。ガオーンとマジーヌもその術中にハマり、ワルドとの戦いそっちのけで、柏餅を求めて駆けずり回る。
ただ、フリントまで柏餅中毒になってしまったことで、ゾックスの怒りを買い、倒されてしまう。
ツーカイザーお披露目回
35番目のスーパー戦隊『海賊戦隊ゴーカイジャー』をモチーフにしたツーカイザーは、『ゴーカイジャー』を見てカッコいいと思ったフリントがデザインをパクったということらしい。普通なら考えられない設定だが、「海賊だから」という一言でなんとなく成立してしまう。
ちなみに、妹のフリントは、そういった技術面にかなり明るいらしく、ツーカイザーの変身アイテム・ギアダリンガーや、ツーカイザーの使うセンタイギアなど、全てフリントが手がけているらしい。
今回は、そんなツーカイザーのお披露目会である。前回も華麗なアクションを見せてくれたが、今回はそれに加えて、フォームチェンジまで見せてくれる。
まずはリッキーの力を借りての「ツーカイザーオーレンフォーム」。先ほども少し触れたが、『超力戦隊オーレンジャー』がモチーフとなっている。フォームチェンジの際には、インド風のダンスを披露する。この、ちょっとダサい感じがツーカイザーの持ち味となっている。武器は使わず、武術で攻撃するスタイルで、必殺技は、巨大な拳で殴り潰す「超力スターナックル」。
もうひとつのフォームは、カッタナーの力を借りた「ツーカイザーシンケンフォーム」。『侍戦隊シンケンジャー』をモチーフとし、ギアダリンガー・ソードモードで敵をぶった斬る。フォームチェンジの際には、日本舞踊とは言えない気がするけれど、ギアダリンガーを鼓に見立てた和風なダンスを披露する。やっぱりダサいが、ちょっとクセになる。必殺技は、刀身に炎を纏わせ敵を一刀両断する「痛快斬・真剣一閃」。
途中、介人を後ろから撃つなど、海賊らしい卑怯な振る舞いもそれなりにあったけれど、最後は自らの負けを潔く認め、「駄菓子カフェ カラフル」から奪い取った商品の代金を気前よく支払うといった男気を見せる(ただし、日本円ではなく、「ポンギ」という謎の通貨だったというオチつきではあるが)。
「家族」
『ゼンカイジャー』には「家族」という裏テーマがある。いや、「裏」も何も、ただ正面から「テーマは家族です!」と言わないだけで、くっきりはっきり「家族」について描いていることは誰でもわかるだろうけれど。
失踪してしまった両親の帰りを待つ介人と祖母・ヤツデという家族の物語。
血の繋がりはないけれど、ジュランたちキカイノイドと共に暮らすことで紡がれる家族の絆。
母を捨てた身勝手な男・バラシタラに怒りを燃やす息子・ステイシーが求める温かい家族像。
そして今回登場したのは、世界を股にかける海賊たちの一家である。普段は飄々としているのに、妹たちのこととなると目の色を変える長兄・ゾックス。お世辞にもガラが良いとは言えないけれど、技術屋としては一流の妹・フリント。なぜか人間ではない見た目の二人の弟・カッタナーとリッキー。
まだまだ謎めいているけれど、彼らが『ゼンカイジャー』で、どんな活躍を見せてくれるのか、家族像を見せてくれるのか楽しみである。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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