第4話「足りない愛情!アブナイ悪魔誕生!」(監督:杉原輝昭 脚本:木下半太)をレビュー。
とても語り尽くせない。
いや、この魅力を語り尽くそうとすれば、番組冒頭から最後まで、全て文字起こししなければならないほど。それくらい情報も魅力も多い。
こんなに語りたくなるライダーはなかなかない。まだ4話しか配信されていないけれど、既に、歴代ライダーの中でも5本指に入りそうな予感さえある、というのは言い過ぎかもしれないけれど、個人的感想としては真実だ。
ネタバレも含むが、これから視聴する方の楽しみを奪わない程度に留めている。とはいえ、気になる点があれば、容赦なく切り込んでいくので、最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
まずは今回のキャストをご紹介。
【キャスト】
五十嵐一輝/仮面ライダーリバイ:前田拳太郎
バイス/仮面ライダーバイス(声):木村 昴
五十嵐大二:日向 亘
五十嵐さくら:井本彩花
ジョージ・狩崎:濱尾ノリタカ
アギレラ/夏木花:朝倉 唯
オルテカ:関 隼汰
フリオ:八条院蔵人
桶谷彩夏:内海誠子
桶谷美春:清水香帆
吉田浪夫:松浦祐也
桶谷妙子:遠藤久美子
若林優次郎:田邊和也
五十嵐幸実:映美くらら
五十嵐元太:戸次重幸
6人の生け贄
悪魔「ギフ」を復活させるためには6人の生け贄が必要らしい。つまり、それを集めることがデッドマンズの当面の目的となる。
そしてその生け贄は誰でもいいわけではなく、オルテカやフリオと同等の「ギフテクス」と呼ばれる上級の悪魔である必要があるようだ。しかし、最初この「ギフテクス」が「ギフテック」としか聞こえなかった。元ネタはデフテックかと思ったが、完全に勘違い。オルテカ役の関さんの滑舌のせいにしたかったが、どうやら問題があるのは私の耳のようだ。地に足つけ頭雲抜け進む前に前に前に(Def Tech「My Way」より引用)。
これまで、「ギフジュニア」と呼ばれるザコと、「デッドマン」と呼ばれる怪人の存在は明らかにされていた。アギレラたち幹部は、そのデッドマンの中でも優秀な存在だとばかり思っていたが、どうも完全に格が違ったようである。
今回明らかにされたのは、悪魔を生み出すつもりで「バイスタンプ」を使っても、「ギフジュニア」と呼ばれるザコが生み出されることがほとんどで、「デッドマン」を生み出せるだけでも凄いことらしい。その中から、さらに「ギフテクス」にまでなれるのはほんの一握りという設定。
ここで第1話を振り返ってみると、デッドマンズ・ベースに集まった有象無象にアギレラがバイスタンプをポンポンと押印すると、次々にギフジュニアが誕生した。
さらに、ジョージ・狩崎の制止を振り切ってレックスバイスタンプを使ったフェニックスの門田ヒロミからはレックスデッドマンが誕生した。つまり、ヒロミはそれなりに能力があったということなのかもしれない。ただの「変身失敗おじさん」ではなかったのだ。ヒロミ、ドンマイ。
上級契約
デッドマンとさらにもう1つの契約を結ぶことを「上級契約」という。
デッドマンに再度バイスタンプを押印することで、体内にデッドマンを取り込み、「ギフテクス」へと進化を遂げる。ギフテクスは、デッドマンよりも人間の姿に近く、典型的な悪魔の雰囲気も色濃く漂っている。
これは上述したとおり、誰でもできるわけではないが、一輝の幼なじみである桶谷彩夏はこれに成功している。これは彼女の愛情への渇望や、妹への嫉妬といった負の感情が強すぎたからなのだろう。
別記事で、『リバイス』のデザインに対して不満を感じている人たちがいるんじゃないか? と考察したが、これは第3話と第4話を見れば、ある程度は解消されるのではないだろうか。
本作では悪魔を生み出すとき、悪魔と契約するという意味合いで、自らにバイスタンプを押印する。すると、契約書が現れ、その紙で作られた折り紙のようなデザインの「デッドマン」が登場する。
このアイデアは面白いものの、見方によってはチープなイメージに繋がっていたが、折り紙のようなデッドマンを怪人ではなく「怪物」とし、より人に近いデザインのギフテクスを「怪人」と、それぞれカテゴライズするとしっくりくる。
そういったレベルの違いを視覚的に表現するために、デッドマンをあえてチープなデザインにしていたとすれば、これはむしろ見事というより他にない。
今回登場した「コング・デッドマン フェーズ2」も、いかにも強そうなデザインだ。少なくともコング・デッドマンと並んだ時に、フェーズ2の方が弱そうだと感じる人は圧倒的に少ないだろう。
「555(ファイズ)」モチーフのプテラゲノム登場
今回登場の新ゲノム(フォーム)は、プテラゲノム。翼竜プテラノドンの力を宿した「プテラバイスタンプ」で変身する。
変身音声は「上昇気流!一流!翼竜!プテラ!Flying by! Complete!」となっている。
モチーフは『555(ファイズ)』。きちんと「Standing by・・・Complete」というところまで取り込んでいるところは流石。しかも「アクセルフォーム」ってところが渋い。
このゲノムチェンジによって、バイスは噂のホバーバイクとなって登場。
この空を飛ぶホバーバイクというのは、劇場版で初めて見た時からずっと不安を感じていて、チープなCGを見せられるなら、普通のバイクアクションにしてくれと思っていたけれど、実際にこうして劇中に登場してみると意外と悪くないことに驚いた。見慣れたのか、登場までの展開が自然だったからなのかは知らんけど。
どうやらあちこちから聞こえてくるネタバレによると、バイスはゲノムチェンジによって、ライダーではなく、乗り物などに姿を変えるパターンも用意されているようなので、今後はそちらも楽しみにしたい。
「杉原節」炸裂
今回の監督は前回に引き続き杉原輝昭監督。『ゼロワン』のパイロット監督だった方だ。
『ゼロワン』第1話は、個人的に歴代ライダーNo.1だと思っているのだが、あの時を彷彿とさせる映像を楽しめるのが今回だ。
フェーズ2となったコング・デッドマンの衝撃波によって高層ビルの屋上から落下する美春を救うため、プテラゲノムへとチェンジし、ビルから飛び降りる一輝。
モチーフとなったファイズのアクセルフォームのように、瞬間的な加速を繰り返して美春を助け出す一輝。
ボディに刻まれたラインが発光し、動いた後に残像が残るという演出もファイズっぽくて最高だ。
続けて、ホバーバイクとなったバイスと共に、コング・デッドマンとビル街のチェイスが始まる。
コング・デッドマンが2台の車輌を放り投げてくるが、ホバーバイクでは避けられないので、レックスゲノムにチェンジして2台の間をすり抜ける一輝とバイス。
再びプテラゲノムへとチェンジし、ビルの壁面を駆け抜けてキック。
最後は彩夏の身体からコング・デッドマンを切り離すため、レックスゲノムにチェンジしてスタンピング・フィニッシュ(ライダーキック)!
悪魔と上級契約を結ぶと2度と元には戻れないと言われていたのに、ライダーキックなら、その原則をもぶち壊すことができるなんていうのは、まさに胸熱の展開だ。
『リバイス』は、この歴代ライダーへのリスペクトが程よいのが良い。仮面ライダー生誕50周年ということで、色々露骨なプロモーションもあるけれど、そのアニバーサリーイヤーに誕生した作品『リバイス』本編が適切な距離感を保とうとしてくれているのはなんとも心地よい。これで歴代ライダー全員集合的なズブズブのお祭り作品になったとしたら、もう目も当てられない。
そして、このスピード感はクセになる。2台の車輌の間をすり抜けるところなどは『ゼロワン』第1話でもあったバスの中をくぐり抜けるシーンの焼き直しのような気もするが、だとしてもクセになる。
この目くるめく展開を見るためだけに、繰り返し視聴できる。まだ見ていないなら、是非とも実際に見て欲しい。
神回。そして、新ライダー登場の次回
「私のことも見てよ!」
人目も憚らず、妹ばかりを気に掛ける母親に声をあげる娘。
煮え切らない兄に怒りをぶつける弟。
「家族」をテーマのひとつに据える『リバイス』らしく、様々な家族の姿が描かれていく。家族のおかげで救われることも多いが、家族だから許せない、見過ごせないことというのも多い。今回は、そういったどこの家族も抱え得る問題を切り取って見せてくれた。
悪魔になってしまった娘と、それでも愛し続けようとする母親とのやりとりにはグッと来る。
沈鬱な出だしから爽快に終わるラストまで、中弛みすることなく描かれた今回は「神回」と言って良いのではなかろうか。
人気のアギレラが「夏木花」という名前(人間としての実名?)で群衆に紛れて登場するなど、今後の展開も楽しみ。
楽しみといえば、とりあえず一件落着した一輝と大二ではあるが、ライダーになりたいと訴える大二に「まず君自身のアップデートが必要だ」と意味ありげに語ったジョージ・狩崎と、次回登場予定の新ライダー・エビルとの関係も気になるところだ。
とりあえず冒頭4話が終わったばかりだが、これはマジで期待していいんじゃないのか? という予感がする『リバイス』。
先ほど悪魔のデザインにチラッと触れたが、主人公である仮面ライダーリバイも、線画で見ると、なかなか不気味なデザインである。
パッと見のポップさに騙されていると、隠されていた本質の不気味さに戸惑うことになるかもしれない。あっと驚かせて欲しいものだ。
次々と張られる伏線。掘り下げられていく登場人物たち。既に楽しみしかない。
ただし、最後に一つだけ加えると、人質にされた桶谷美春の存在感がなさ過ぎた。アイドル役なのだから、もっと目立って良いと思うのだが、ステージ上ではキラキラしていたものの、それ以外ではほぼセリフもなく、流されるまま、という感じが目についてしまった。
とはいえ、作品自体の評価に関わるほどではなく、他が良すぎたために悪目立ちしてしまったという程度ではあるが。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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