絶望への3カウント|『ウルトラマンデッカー』第9話感想

雷堂

2022年9月10日放送『ウルトラマンデッカー』第9話「誰がための勇姿」(監督:坂本浩一 脚本:皐月 彩)

カナタがウルトラマンデッカーであることがバレた!?

衝撃的な幕開けを見せる第9話だが、じわりと胸に染みる素敵なエピソードとなっている。

ネタバレを気にする方もいらっしゃるかもしれないが、これから視聴する方の楽しみを奪うほどではない程度なので、安心して読み進めていただきたい。最後までおつきあいいただければ幸いだ。

目次

キャスト

ここでは第9話のキャストをご紹介する。

本作初登場でウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておくので、他の参加作品なども是非ご参照いただきたい。

なお、以下で使用している画像は全て『ウルトラマンデッカー』より引用している。

アスミカナタ

アスミ カナタ

松本大輝

キリノイチカ

キリノ イチカ

村山優香

リュウモンソウマ

リュウモン ソウマ

大地伸永

カイザキサワ

カイザキ サワ

宮澤佐江

アサカゲユウイチロウ

アサカゲ ユウイチロウ

小柳 友

ムラホシタイジ

ムラホシ タイジ

黄川田雅哉

ハネジロー

ハネジローの声

土田 大

グレース

グレース

中村浩二

ミカ

ミカ

榎本遥菜

街の人1:リー正敏

街の人2:大村早紀

ウルトラマンデッカー:岩田栄慶

グレゴール人グレース:桑原義樹

レッドキング:新井宏幸

ミクラス:岡部 暁

ウインダム:永地悠斗

アギラ:梶川賢司

ダイナの中の人

今回のハイライトは、なんと言ってもグレゴール人グレースを演じる中村浩二さんだ。

本作『ウルトラマンデッカー』は前作『ウルトラマントリガー』と地続きの物語であると同時に、今年放送から25周年を迎えた『ウルトラマンダイナ』のエッセンスを取り入れた作品であることが公言されているが、そのダイナのスーツアクターを担当されていたのが中村さんである。

最近だと『仮面ライダーリバイス』の夏映画「バトルファミリア」に出演されてもいたし、春にひかりTVで独占配信された『グッドモーニング、眠れる獅子』では、ミスター平成ライダーこと高岩成二さんと共演。お互いに顔出しで、熱すぎる限界バトルを繰り広げて話題となった。過去に、東映の白倉伸一郎さんが円谷プロに持ち込んで却下されたという「ウルトラマンVS仮面ライダー」的な構図が実現したわけである。

画像引用元:ウルトラマンデッカー

グレゴール人グレース

別名:宇宙格闘士

身長:180cm〜55m

体重:74kg〜47,000t

出身:ヘラクレス座M-16惑星

グレゴール人グレースもまた『ダイナ』に登場した宇宙人だ。当時、ダイナと戦った相手を元ダイナの中の人が演じるという不思議な因縁。ただし設定は以前とは若干異なる。

「宇宙最強のチャンピオン、鋼の魔人」を自称するグレースだが、最近は長年戦ってきたことによる体調不良と加齢に悩んでいた。しかし、応援してくれる一人娘の誇りであり続けたいと願う彼は、最後に名を挙げ、ファイトマネーを稼ぎたいと思っていた時、超古代の光の巨人の噂を聞きつける。そこではるばる地球へやってきたのだが、そこには既に巨人の姿はなく、地球はすっかり平和になっていた。仕方なく母星に帰ろうとしたタイミングでスフィアの襲撃に遭い、地球に閉じ込められてしまったという。彼ら親子もまたスフィアの被害者なのだ。

この超古代の光の巨人というのは、スフィアの侵攻前ということを考えれば、デッカーではなくトリガーのことだろう。

格闘士とはいうものの、普段はとても温厚な人物で、一人娘のミカと慎ましやかな生活を送っており、デッカーに変身する瞬間の盗撮写真をエサに、父と戦って欲しいとカナタに詰め寄るミカを嗜めて写真を破り捨てるなど、非常に紳士的だ。

しかし、もちろんこのままで終わるはずはない。

レッドキングとウインダム

唐突に姿を現したのは、どくろ怪獣レッドキング。

画像引用元:ウルトラマンデッカー

どくろ怪獣レッドキング

身長:45m

体重:20,000t

『ウルトラマン』を知っていてレッドキングを知らない人はいない。そう言い切っても異論がないほど有名な怪獣だ。蛇腹のようなボディと、背の高さを強調するために胴体から頭頂部へと向かって緩やかに細くなる長い首。シンプルなのに一度見たら忘れられないインパクトがある。初代『ウルトラマン』に登場してから既に50年以上もの年月が経っているわけだが、未だに古臭さのないデザインには驚くばかり。ただし、ウルトラシリーズファンからすれば多少見飽きた感はあるかもしれない。

グレースによって一度は地中へ逃げ去ってしまうが、その後、スフィアと合成を果たして再登場する。

画像引用元:ウルトラマンデッカー

どくろ合成獣スフィアレッドキング

身長:45m

体重:25,000t

『デッカー』には可能な限り新怪獣を登場させたい、という意向があったというが、この合成獣がそれだとしたら少々期待はずれだ。以前登場したゴモラも合成獣となったが、こんなものは改造車程度のものであって、新しいとは言わないと思う。今の子どもたちはこれで十分かもしれないが、古くからのウルトラシリーズを愛するファンには物足りない。

ウルトラシリーズを怪獣作品として捉えるか、ヒーロー作品として捉えるかによっても、そのあたりの評価は分かれそうだ。少なくとも『ティガ』以降は明らかにヒーロー作品にシフトされているので、そういった観点からすれば過去の怪獣を何度使い回しても問題なさそうだ。怪獣が、ウルトラマンというヒーローのカッコよさを際立てるためだけに登場するかませ犬だとするならば。

しかし、元々ウルトラシリーズとは怪獣作品である。原点である『ウルトラQ』に光の巨人は存在しないし、『ウルトラマン』以降も、どんな特徴を持った怪獣が登場するか、というのが最大の注目点だった。

ゆえに当時人気だったキャラクター消しゴムも、子どもたちが熱狂したのは怪獣であり、ウルトラ兄弟はハズレと捉えられることが多かったようだ。

商業的には、怪獣グッズをちまちま売るより、変身アイテムをバカスカ売った方が利益は出るだろうから間違いなくヒーロー推しで展開する方が正しいのだろうとは思うが、古くからのファンとしては、なんだか少し寂しくもある。

なお、今回ついに最後のディメンションカード怪獣・ウインダムが登場した。

画像引用元:ウルトラマンデッカー

ウインダム

身長:ミクロ〜65m

体重:0〜23,000t

得意技:レーザーショット

カナタに呼び出された後、レッドキングを体当たりで吹き飛ばすという、ほんの一瞬だけの登場となったが、デザインの存在感は相変わらず素晴らしい。これもレッドキング同様、名匠・成田 亨さんによるデザインである。

思えば、成田さんが手がけたウルトラシリーズ初期の怪獣たちのデザインが凄すぎて、その後に続く人たちは撃つべき弾が見当たらなくなっているのかもしれない。天才の功罪である。

DG001の影

パワーアップして再登場したスフィアレッドキングを倒すため、自らの身を挺するグレースの勇姿はベッタベタだが、そこにはベタだからこその熱がある。地球人のためにレッドキングと戦ったグレースを讃える人々の声にグレースとミカが喜びを爆発させるシーンもベタだが良かった。

ただ、そこに至るまでの展開がやや微妙だと感じた。

最後に一花咲かせたいと願うグレースのため、デッカーの代わりにGUTS-SELECTが戦うことになる、というのがよくわからなかった。そのために散々筋トレをしたりして、組み手でもするのかと思いきや、巨大化したグレースに戦闘機や銃火器で立ち向かうというまさかの模擬戦が始まって「あれ?」となる。

画像引用元:ウルトラマンデッカー

こんな様子を人々が見たら、間違いなく地球を襲う宇宙人とGUTS-SELECTが戦っているようにしか見えない。格闘士として名を轟かせるどころか、むしろ侵略者として名を轟かせてしまいかねない。

しかも、デッカーに変身したカナタは、グレースと共にスフィレッドキングを倒すのではなく、スフィアレッドキングとの戦いは自分に任せて演習を続けろと、わけのわからない気配りを始める。どう考えてもデッカーと共闘してスフィアレッドキングを倒した方が、グレースの名前も売れると思うのだが・・・。

そのくせスフィアレッドキングが強すぎて、結局はグレースに助けられてしまうという体たらくを見せるデッカー。ピンチを迎えたデッカーのために、あれほどこだわっていた勝利を放棄してまで加勢したグレースの漢気に胸が熱くなる。

ラストはグレースがスフィアレッドキングの動きを封じたところをGUTSグリフォンのハイパーソーンレーザーが貫く。死を覚悟しているように見えたグレースが、デッカーが召喚したミクラス、アギラ、ウインダムによってギリギリ命を救われたことだけは何よりだったろう。

TPUの病院に担ぎこれたグレースが今後また登場するかは不明だが、それよりも気になったのは、今回GUTSグリフォンが使ったハイパーソーンレーザーの成功を確認して、「新兵器にも生かせる」とほくそ笑むアサカゲ博士だ。

「DG001」と呼ばれたその新兵器は、特別編集編でチラ見せされた計画書に記載されていたものだ。

画像引用元:ウルトラマンデッカー

さて、アサカゲ博士の闇堕ちの可能性も含め、どう展開するのか?

それにしても、ムラホシ隊長の「小さな幸せを守る」という一言が、なんだかじんわりと胸に染みる。グレース親子の仲睦まじい様子を見ていると、何不自由ない生活よりも、少し不自由な方が幸せを感じるセンサーは敏感になるように思えた。キラキラしたインフルエンサーみたいな存在になりたいと考える人は多いけれど、目立たなくとも、より多くの幸せに気づける生き方を目指す方が最終的な幸福度は高い気がする。

まだ見ぬ幸せを求めて彷徨うよりも、目の前に転がる小さな幸せを拾い集められる人生はどんなに豊かだろう。

そんなことを考えさせられるエピソードだった。

雷堂

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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