2020年8月、「東映まんがまつり」にて公開されたショートムービー「仮面ライダー電王」の新作映画『プリティ電王とうじょう!」を視聴したのでレビュー。
「仮面ライダー電王」を冠する作品としては2010年公開の「仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダー THE MOVIE 超・電王トリロジー」から10年ぶり(トリロジーはマジでオススメなので未視聴の方には是非見て欲しい)。内容云々はちょっと置いておいても、今も変わらぬイマジンたちと、すっかり大人の女性となったナオミ(秋山莉奈さん)の姿に、ファンなら歓喜せずにはいられない。
どうぞ、最後までお付き合いください。
ストーリー
小学生のアンナは些細なことで母親と喧嘩し、家を飛び出してしまう。怒りの収まらないアンナは、母親からもらっていたお守りを投げ捨てる。
そこに現れたのは黒ずくめの全身タイツの男たち。仮面ライダー1号・2号と死闘を繰り広げたショッカーの戦闘員である。
何故かショッカーの戦闘員に追われることになったアンナが逃げ込んだ先は、時の列車デンライナーの中。お馴染みのモモタロス・ウラタロス・キンタロス・リュウタロスがショッカーに捕らえられている。ショッカーは、アンナの持つ「お宝」を手に入れるため、デンライナーを乗っ取ってアンナのいる時代までやってきたらしい。ナオミの機転でデンライナーから逃げ出したアンナとモモタロスだったが、アンナが生きていた令和2年ではなく、その30年前の世界に到着してしまう。
そこで一人の少女と出会うアンナ。その少女は1枚の宝くじを大切に抱えていて、自分の名前を明かす代わりに「メロンパンが好きだから”メロン”て呼んで」と言う変わった子。
その後、振り切ったはずのショッカーがデンライナーでこの時代に現れ、メロンが捕らえられてしまう。
メロンを救うため、モモタロスに身体を貸すことにするアンナ。戦いの行方は? そしてショッカーが求める「お宝」とは?
ショッカーが探すお宝とは宝くじだった。
この宝くじは1等6,000万円の大当たりらしい。ショッカーはこの当選金を頭金にして秘密基地を作ろうとしているのだというハチャメチャ設定。
そしてこの宝くじを持っているのがアンナだとか。当のアンナにそんなものを持っている覚えは無い。
電王に変身したものの、改造人間イカデビルとの戦いの中、ダメージを受けて変身が解けてしまうアンナ。再度変身して立ち向かおうとするアンナに、どうしてさっき会ったばかりのメロンのためにそこまで頑張るのか? と問うモモタロスに、「メロンちゃんと会ったこの時間が宝物だから・・・!」と返すアンナ。
「へっ!どっかの誰かと同じようなこと言いやがる」
立ち上がり、ベルトを巻くモモタロス。ここからが本当のクライマックス。イカデビルを倒すモモタロス。
メロンとの再会を約束し、自分の時間に戻ったアンナは、投げ捨てたお守りを見つけ出す。お守りの中身を見てみると、そこには例の宝くじ。お気づきだったとは思いますが、30年前に出会ったメロンこそがアンナの母親で、当選した宝くじを我が子のお守りに込めていたというわけ。
「また会えたね。メロンちゃん」と呟くアンナの一言と、それをデンライナーの車窓から見守るモモタロスたちを映して終わる物語。
本作の見どころ
本作の見どころは、このフォーム↑(プリティ電王)。以上。
と言ってもいいくらいの内容。
ファンにとってはお馴染みの面々が、あの頃と変わらぬ雰囲気で登場してくれるというだけで嬉しさMAXだが、とりあえずそれだけ。おそらくファンでもなんでもない人が見たら、デンライナーの仕組み(パスを持ってゾロ目の数字の時間にどこかのドアを開けると乗り込める)とか初見ではわからないことが多すぎて面白いかどうかという以前にイミフだろうし、コアなファンからすれば、こんなフォームをわざわざ出す必要あったのか? という意見もあると思う。
しかし、それでもつまらないわけじゃない、というのが『電王』ブランドの凄さ。取り立ててガンッ!というインパクトも無いけれど、『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』のように安心して観られる感はある。
ほんの20分程度のショートムービーだが、以前レビューした「仮面ライダーセイバー」の劇場版短編よりも展開は遥かにしっかりしている。ほぼコメディなので、好き嫌いは別れるかもしれないが、最後には「プリティ」ではない電王によるクライマックスも用意されているし、展開はありきたりながら、迎えるエンディングは一言「爽やか」だ。
視聴するには?
現在視聴するにはTTFC(東映特撮ファンクラブ)で250円(税込)必要。
これで30日間視聴できますが、20分ちょっとの作品なので、安くはないなというのが正直な感想。オチもタイムトラベルものにはありがちな感じだし。
もうしばらく待てば、TTFC会員なら見放題になるんじゃないかとも思うので、それを待つのも手じゃないかな、と。
ただ、本作を視聴して、改めて『仮面ライダー電王』というコンテンツの凄さを思い知った。個人的には『仮面ライダー』の歴代作品の中で、群を抜いた”おばけコンテンツ”であると思う。
作るかどうかは別としても、いくらでも新作が作れそう。そして、時代を超えてまた新たなファンを生み出しそうな、そんなとんでもないコンテンツだと思うからだ。
『電王』については改めてレビューするが、もしもまだ見たことがないという方は是非見て欲しい作品だ。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。