『リバイス』は、見どころとして一部抜粋するのが難しい作品だ。全部見て欲しいし、全部語りたくなる。まだほんの序盤なので断言することは難しいが、既に傑作の雰囲気がある。
TTFC(東映特撮ファンクラブ)にて配信されている『仮面ライダーリバイス』だが、第1話に引き続き、オーディオコメンタリー付きの各話配信が始まっている。今回はプロデューサーの望月さんとパイロット監督・柴﨑さん。
最終話まで全部やるのだろうか? さすが50周年記念作品だけあって気合の入れ方が違う。
第2話のレビューは別記事としてアップしているので、ここではオーディオコメンタリーで語られた内容と、第2話のレビューではあえて触れなかった部分について書いて見たいと思う。
さらに、個人的には大絶賛の『リバイス』だけれど、あえて気になったところも書くことで、単に「面白い」「オススメ」と書くだけよりも浮かび上がるものもあるだろう。容赦なくツッコミも入れていきたい。
最後までおつきあいいただければ幸いだ。
正義と悪
「原色」の衣装が艶やかなデッドマンズに対し、彼らに対抗する組織・フェニックスは「白」の衣装とわかりやすい対比を見せている。このフェニックスの「白」が、後々何かしらの意味を持ってくるかもしれない、といった話も飛び出した。
こうしてみると、司令官の衣装は戦闘服よりも司祭とかそういったものに近い雰囲気がする。
確かに「白」には正義とか清潔といったイメージが強いが、「すぐに汚れる」というイメージもつきまとう。白い服装で汁物を啜るなどありえない。白い状態をキープしようとしても、年を重ねると徐々に黄ばんでしまったりもする。衣装の話だけでなく、人間も組織も最初から最後まで真っ白なままでいるというのは、想像以上に難しいことなのかもしれない。
もっといえば、悪の組織・デッドマンズの衣装が一般的な悪のイメージである「黒」ではなく「原色」というのも特徴的だ。『リバイス』の物語の根底には「性悪説」が横たわっているように思う。つまり、悪こそが人間本来の姿であるということだ。それを「原色」を使って表現しているようにも見える。
『セイバー』の話も
今回は、いわゆるゲスト回。
『セイバー』にゲスト回が少なかったのは、やはりコロナ禍のためだったらしい。直前までは従来のライダーらしく、ゲストを招いてのエピソードをふんだんに盛り込む予定だったとのことだが、ということは、当初の企画段階では、あれほど大勢のライダーを出す予定はなかったということなのだろうか? あんなにいては成立し得ない気もするのだが。
思い返せば、全体的にはイマイチだった『セイバー』だったが、20章前後のゲスト回、そして終盤での『ゼンカイジャー』とのコラボ回などは意外と評判が良かったように思う。
『リバイス』では、平成二期の『W』や『オーズ』のようなテイストで展開していきたいという望月プロデューサーの話も聞けたので、ここは要注目である。
細かいこだわり
作中の細かいこだわりというのはいくつかあって、例えば、変身シーンで見せるバイスのダンスは毎回違うらしい。
細かいけれど、気づくと楽しいというマニア心をくすぐるこだわりである。
また、私はイマイチ好きになれない「リミックス合体」だが、これは親子で実際に遊べるという前提で組み立てているらしい。
いわゆる「組み体操」みたいなものだが、なんとも懐かしい。ウチでも実際にやってみたが、確かにレックスとイーグルはできた。とはいえ、全部で20種類ほどのバイスタンプがあることを考えると、本当に全部できるのかは微妙。というか、このオーディオコメンタリーでも、劇場版で披露した「メガロドンリミックス」は再現不可能だと言っていたし、どの程度可能なのかも興味深いところだろう。とはいえ、小さなお子さんがいるご家庭でなければ興味も湧かないとは思うが。
それと、これはこだわりとは違うと思うが、第2話の時点で主人公・一輝にはライダーにお約束のバイクがない。なんと自転車である。それもスポーツタイプでもなんでもない、普通のカゴ付き自転車。ママチャリというやつだ。
この物置からママチャリを出すという流れがとてもいい。よく見かける風景だ。
『リバイス』は劇場版でも示されたとおり、ホバーバイクという宙に浮くバイクが登場するが、それまでの繋ぎなのか、それともこのまま行くのか? ママチャリでも、バイスが乗り移ればバイク以上の機動力を発揮することはわかったが、オーディオコメンタリー内では、この第2話の意見を聞いて考える、という話は出ていた。
たぶん出ないだろう。たぶん。
銭湯で戦闘
劇場版でも、この第2話でも普通に眺めていたが、このシーンを撮影しているのはガチの銭湯。
許可をもらって撮影していることはもちろんだが、スーツを着込んだ状態で湯船に入り、そこで暴れるなんて、正気の沙汰ではない。というか、これを許可する銭湯の経営者の度量の広さというのか、聖地として売り出す今後のことを考えての策略なのかはわからないが、こちらも大したものである。
しかしながら、こうした理解のあるロケ先があるということで面白い画が見られるとなれば、これはファンとしては喜ばしい限り。ひとまず第2話まで視聴した限りにおいては、やはり『リバイス』には期待しかない。
また、今回のように1話につき2体の怪人が出現するという流れは、『仮面ライダーV3』でも見られた手法だが、V3では、当初はライダーを苦しめた怪人たちが番組終了間際にまとめてやられるということが多々あり、怪人の無駄遣い感が強かったものだ。
ところが今回の『リバイス』では、その無駄遣い感が、思ったより感じられない。これはシナリオはもちろんだが、アクションシーンが充実しているから、という理由も外せないだろう。一つ一つのアクションシーンは決して長くはないけれど、見どころの多いアクションが展開されていて、あっさり終わったようには見えない(実際には、あっさり終わっているのに)。
このあたりのさじ加減は『ゼロワン』からアクション監督を務めている渡辺淳さんの手腕によるものだろう。次回第3話のオーディオコメンタリーは、その渡辺淳さんが登場するので、そちらもレビューしてみたい。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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