2021年11月14日放送『仮面ライダーリバイス』第10話「兄と弟、信じる心」(監督:坂本浩一 脚本:木下半太)
珍しく、というか初めてバイスの語りから幕を開けた第10話。
これを見ると、前作『セイバー』におけるタッセルのように、バイスにストーリーテリングをやらせるというのは、確かにアリだと感じる。物語の途中でわざわざ視聴者に語りかけてくるのは、話の流れを断ち切ってしまうようなところがあるけれど、導入部分であれば違和感は少ない。
今回は、完全にカゲロウに飲み込まれてしまったかに見える大二を救うため、戦い続ける一輝と、ついに覚醒する大二に大注目。ツーサイドライバーのもうひとつの顔が明らかになる。最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは第10話のキャストをご紹介する。
五十嵐一輝/仮面ライダーリバイ:前田拳太郎
バイス/仮面ライダーバイス(声):木村 昴
五十嵐大二/仮面ライダーエビル:日向 亘
五十嵐さくら:井本彩花
ジョージ・狩崎:濱尾ノリタカ
アギレラ:浅倉 唯
オルテカ:関 隼汰
フリオ:八条院蔵人
門田ヒロミ/仮面ライダーデモンズ:小松準弥
牛島 光:奥 智哉
松本 寛也 ・ 西葉瑞希 ・ 榊原徹士
盛永晶月 ・ 山田暖絆
若林優次郎:田邊和也
五十嵐幸実:映美くらら
五十嵐元太:戸次重幸
信じたくない心、信じる心
「大二は粉々に消滅しましたよ。お兄様」
不敵な笑いを浮かべるカゲロウから大二を救い出すため、一か八かのスタンピングフィニッシュに賭ける一輝だったが、あえて変身を解除し、弱々しいフリをするカゲロウに迷いを見せたところをめった打ちにされてしまう。
変身も解け、絶体絶命のピンチ。それでも地を這い、エビルの脚にすがりつき、大二の名を呼び続ける一輝だったが、大二からは何の応答もない。
そんな一輝を救ったのはヒロミだった。新しく手に入れたモグラバイスタンプの力で窮地を脱する。
「カゲロウは一般人を襲っている。もう大二はいない」
冷静を装い、そう語るヒロミだったが、心の中ではえずくほどに男泣きしている様子。回を重ねるごとに、“いいひと”感が増している素敵なキャラである。
二人とも、大二のことを信じたい気持ちはあっても、現実的には信じきれていない状況。というよりは、大二が消滅してしまたという現実を信じたくなくて、意地を張っているだけにも見える。この物語だけの話ではなく、あまねく全ての「信じたい」「信じよう」「信じなきゃ」という想いとは、「実はそうではない現実を認めたくない」というだけだということがわかる。リバイスは、こういった物事の本質的なことを時々前触れもなくぶち込んでくる。だが、それがいい。
そんな一輝の心を知り、「口では信じると言ってても、本当は信じてないじゃん」と見透かすバイスは、エビルの中で、未だ諦めることなく、虎視眈々とチャンスを窺っている大二を見ていた。
確かに大二は、兄に嫉妬していたかもしれない。しかし、幼い頃から、誰よりも兄のことを信じていたのも、また大二だったのだ。
兄だから、弟を守らなきゃと考えていた大二は、いつの間にか弟の持つ本来の強さを忘れてしまっていたようだ。一輝がそのことを認めた瞬間、大二は再び立ち上がるのだった。
自らを取り囲む見えない殻をぶち破るこのシーンは、大二が自らの弱さを認めた上で、それを乗り越えようとした証だろう。
3体合体するブラキオ・デッドマン、逆襲のブラキオゲノム
スーパー戦隊シリーズからのゲスト3人から生まれた3体のブラキオ・デッドマンは、何度やられても、その度にバイスタンプで生み出されていたらしい。これまでのデッドマンは、一度倒されるとバイスタンプを吐き出していたため、そういうものだとばかり思っていたのだが、どうやらこういう使い方もできるらしい。
これはデッドマンを生み出す人間の素質(悪意の大きさ?)みたいなものも影響しているのかもしれない。要するに、誰にでもできる芸当ではないのではないか? ということだ。
さらに、3体が連携して戦うだけかと思ったら、まさかの3体合体まで見せる。これは今までのデッドマンでは見られなかった能力だ。
右腕にキャノン砲、左腕にドリル、長い首にはチェーンソーという、全身凶器。その力は凄まじく、デモンズさえ圧倒する。
一方、カゲロウの中に閉じ込められていた大二が意地を見せたおかげで、エビルは苦しみ、ブラキオバイスタンプを落としてしまう。その隙を突いて、一輝は『仮面ライダージオウ』をモチーフとしたブラキオゲノムへと変身する。
変身音は、「最大! 最長! 最古で最強! ブラキオー! 祝え! 長き王の誕生を!」というもので、『ジオウ』最終回でのオーマジオウへの変身音「最高! 最善! 最大! 最強王!」を模したもの。「祝え!・・・」はウォズの「祝え! 新たなる王の誕生を!」が元ネタとなっているのは言うまでもないだろう。
ブラキオサウルスといえば、『風都探偵』に登場するドーパントを思い出すくらいで、これをモチーフとしたライダーは史上初。しかし、元ネタとなった『ジオウ』よりも、こちらのデザインの方が好みという人は多いのではないだろうか?
これまで最も高く、最も重いと言われてきた恐竜をモチーフとしているだけあって、そのパワーは圧倒的。隙を突いたとはいえ、エビルにほとんど反撃も許さず、倒してしまう。
この、スタンピングフィニッシュの際に登場したカウンターの演出がなかなかカッコいい。リバイとバイスの二人の蹴り足がこのカウンターを通過した瞬間、49の数字が50に変わり、二人の足裏に50の数字が輝く。
→EVIL、EVIL←
ついに復活した大二が、満を持して変身したのが「仮面ライダーライブ」。
腰に装着したツーサイドライバーの名の通り、“EVIL(エビル)”という単語を反対から読むと“LIVE(ライブ)”となる。主題歌のタイトル「liveDevil」からインスパイアされたのか、それとも主題歌さえも伏線だったのかは不明だが、良いアイデアである。大方の予想通りの展開ではあったが、今回の初変身からフィニッシュまでは終始胸熱だった。
一輝の決め台詞「沸いてきたぜ!」の大二バージョン「白黒つけようぜ!」からはじまり、バットバイスタンプを押印するところまでは一緒だが、ツーサイドライバーの「リバーサルセレクター」と呼ばれるパーツを回転させることでエビルではなくライブへの変身を可能にする。
変身音は「Precious! Trust Us! Justice! バット!」。一輝が変身するときに見せる“五十嵐ポーズ”もきちんと受け継がれている。
マスクはバット繋がりで『仮面ライダーキバ』がモチーフだが、ボディはキバのような筋肉質なものではなく、聖職者の衣装のようである。ライブガンという銃を使い、華麗な攻撃を繰り出す。デザインだけでいえば、エビルの方が好みだが、動きがつくとライブもかなりカッコいい。
必殺技は「ジャスティスフィニッシュ」。いわゆるライダーキックだが、蹴り足にコウモリのエフェクトがかかるところが、やはりキバっぽい。だが、それがいい。ディ・モールト(とても)良い。
「大事(大二)に、決めようか!」は、なくても良かったかもしれないが、何事にも慎重な大二っぽいといえば大二っぽい。
迫るアギレラ、揺れるさくら
次はいよいよ、五十嵐家の末娘・さくらの出番である。
これまでも、襲いかかってくるギフジュニアに立ち向かい、人質に取られた誘拐犯には華麗な回し蹴りを決め、アギレラ様とも果敢に戦う姿勢を見せてきた。若くして黒帯という空手の実力も相当なものだが、それより何よりハートの強さが尋常ではない。
しかし、当の本人は、「本当の強さって何?」ということに対し、疑問を抱えている様子。フリオによる揺さぶりは、先日の温泉旅行の際に既に終わったと思いきや、今度はアギレラ様にそこを見抜かれて、ぐらぐらと心を揺さぶられているようだ。
「ギフ様の家族にならない?」という問いかけに「は? 誰それ? なるわけないでしょ」と、もっともな受け答えをするも、「探してた答えが見つかるかもよ?」というアギレラ様の一言には明らかに動揺している。
悪いこと、危険なことだと分かっていても、それによって掴めそうな何かに縋りつきたくなるのは、10代という若さゆえかもしれない。校舎の窓ガラスを壊して回ったり、盗んだバイクで走り出すという、尾崎 豊の時代はとうの昔ではあるけれど、世界の中に自分の立ち位置を探して、いつもどこかしっくりこなくて不安になる、というのは、時代が変わっても変わらないものなのだろう。
そんなガラスの10代・さくらの前に、次回、まるで『仮面ライダーゴースト』みたいな男が登場する。中の人はM.c.A.Tかも。だとしたら完璧だ。ボンバへだ。ちょっとヤバッ! だ。
差し出されたのは謎のドライバーと、どうやらコブラのバイスタンプ。
ジョージ・狩崎の仕業なのだろうか?エビルのコウモリ、デモンズのクモときて、さくらはコブラと、仮面ライダーシリーズではおなじみの怪人モチーフが勢揃い。『リバイス』は悪魔と契約する物語だから、あえて狙っているのだろうが、完璧な設定である。昔からのファンであればあるほど胸を焦がすと思う。
これで、ライダー史上初の3人兄弟ライダー誕生となるのだろうか? おそらくそうだろう。願わくは、さくらが変身したライダーの中の人は岡元次郎さんでお願いしたい。王蛇再び。いや、無理があるか。
でも、これ以上、五十嵐ファミリーがライダーになるとしたら微妙なので辞めて欲しい気はする。お父さんもお母さんもライダーのライダー一家などとなれば、もはやそれはウルトラマンである。仮面ライダーの父と仮面ライダーの母というのは、ネタとしては面白いが、実際に変身させたりはしなくて良い。心の支えであってくれれば良いのだ。
しかし、本当に面白すぎる『仮面ライダーリバイス』。期待はしていたが、正直、ここまでとは思わなかった。これまで見てこなかったという方も、今ならまだ全然追いつけるので、是非視聴をはじめて欲しいと心からオススメしたい。
仮面ライダーシリーズに精通している人なら細かな設定まで含めて楽しめること請け合いだし、仮面ライダーは初という人にも絶対に楽しめるはずだ。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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