2022年5月22日放送『仮面ライダーリバイス』第36話「岐路に立つ人類、それぞれの決意」(監督:柴﨑貴行 脚本:木下半太)
自らにふさわしい居場所を求め、ウィークエンドに志願する玉置。
自らの新たな居場所は見つけたものの、戦う力を失ったことで、迷い続ける花。
ギフという未曾有の危機を目の前に、「死なないための生き方」を選ぶ人々。
そして、フェニックスという居場所に固執し続ける大二。
「生きる」意味を求め、彷徨う人々を描いた『仮面ライダーリバイス』第36話をレビュー。
最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
第36話のキャストをご紹介する。
ここで使用している画像は全て『仮面ライダーリバイス』より引用している。
五十嵐一輝/仮面ライダーリバイ
前田拳太郎
バイス/仮面ライダーバイス(声)※画像右
木村 昴
五十嵐大二/仮面ライダーホーリーライブ
日向 亘
五十嵐さくら/仮面ライダージャンヌ
井本彩花
ジョージ・狩崎
濱尾ノリタカ
夏木 花
浅倉 唯
玉置 豪
八条院蔵人
牛島 光
奥 智哉
伊良部正造※画像右
西郷 豊
牛島公子※画像右奥
乃 緑
ベイル(声)
津田健次郎
狩崎真澄(声)
藤 真秀
御子柴朱美/ギフデモス
藤岡沙也香
アナウンサー
安藤聡海
牛島太助
矢柴俊博
五十嵐幸実※画像左奥
映美くらら
赤石英雄
橋本じゅん
五十嵐元太
戸次重幸
アララト
日本政府は、フェニックス長官・赤石が掲げた「戦略的人類退化政策」に基づき、悪魔を排除するためのバイスタンプ押印を国民に義務付けた。悪魔を排することが、どうして退化に繋がるのか?
このヒントは、前回、ジョージが大二に語った一言にあるではないか、と思う。
「人は誰しも善悪のバランスをとって生きている。だが、君は既にカゲロウを失っている。君の正しさが、君を追い詰めすぎなければいいんだけどね」
確かに、カゲロウを倒し、ホーリーライブの力を手に入れてからの大二の様子がおかしいのは、誰の目にも明らか。
ということは、バイスタンプによって悪魔を排除された人々もまた、おかしくなってしまうのかもしれない。もちろん、国がそんな不都合な真実を発表するワケはない。しかし、それより問題なのは、国の決定に疑問も抱かず、ただ諾々とバイスタンプを押印される人たちだろう。なんだか、嬉々として、コロナワクチン接種を受ける人たちのようにも見える。
そして、バイスタンプの押印をした人々だけを受け入れるのが、「アララト」と名付けられた街である。
旧約聖書によれば、「アララト」とは、大洪水の後、ノアの方舟が流れ着いた場所とされている。トルコに現存する山の名前でもあり、この三角形のデザインは、山を表しているのだろう。ただし、本作に登場する「アララト」は山ではなく、再開発した都市であることから、右下の部分はレンガ積みのように建築物であることを主張しているように見える。ピラミッドのような建物があるのかもしれない。
それにしても、第3話で登場した都市再開発計画が、ここに来て回収されるとは思わなかった。
当時は単に、しあわせ湯という、ちょっと時代遅れの銭湯を取り巻く問題のひとつだと思っていたのだが、企画段階から周到に用意されていた布石だったとしたら凄まじいことだ。もちろん、単なる後付けかもしれないが、なかなか上手い回収ではあると思う。
新ライダー登場
狩崎真澄の手によって作られた新たなドライバーが「ウイークエンドライバー」。さくらが使う「リベラドライバー」を基にした量産タイプであるらしい。
新たなドライバーの登場とは、新たなライダーが登場することの証左である。
注目の変身者は、赤石の動向を探るためにベイルの下に送られた玉置・・・ではなかった。白目を剥いた迫真のやられ演技をしたにも関わらず、である。
ウィークエンドライバーと共に、玉置に託されたのは「バッファローバイスタンプ」。猪突猛進型の玉置に、バッファローは似合いすぎだと思っていたのだが、これは単なるミスリード。バッファローの力もベイルに吸収されて、おしまい。
そのピンチを救ったのは、かつての女王・夏木 花である。
「クイーンビーバイスタンプ」によって、新ライダー・アギレラに変身する。
仮面ライダーアギレラ クイーンビーゲノム
身長:198.7cm
体重:63.1kg
パンチ力:27.8t
キック力:31.8t
ジャンプ力:26.7m(ひと跳び)
走力:3.3秒(100m)
必殺技:クイーンビースタンピングデストロイ、クイーンビースタンピングブレイク
変身音声は、「Subvert up! Wow! Just believe in myself! 仮面ライダー Ah! アギレラ」となっている。ちなみに“Subvert”とは「破壊する」という意味。好戦的だったアギレラのイメージとも、モチーフとなっているハチのイメージともぴったりハマる。
デザインは、どこか仮面ライダーネクロムや、仮面ライダーバースなどを想起させるメカっぽさがあるが、シャープな見た目通り、軽やかなアクションでベイルを子供扱い。「ふざけるな・・・!」と怒り狂うベイルの津田さんボイスがまた素敵、というのは余談である。
武器が、ハチの針をイメージしたクナイ(名称はニードルクナイ)ということもあり、そのイメージはクノイチ。
必殺技のクイーンビースタンピングブレイクの前に、両手のニードルクナイでベイルの足を地面に縫い付け、動きを封じてから回し蹴りを決める、という流れにはシビれた。
さくらによって、悪魔と分離させられてからというもの、戦いの最前線を退いていた花だが、過去の贖罪のために再び戦いたいと告げた際、狩崎真澄が手渡したのが、クイーンビーバイスタンプだった。
花がアギレラとして生きてきた過去を否定することなく、これまで生きてきた証として、それを手渡した狩崎真澄も粋だが、そのスタンプを愛おしそうに握りしめ、「アギレラにも居場所が必要なんですね」と口にした花の表情が印象的だった。
今回の主役は完全に花だった、と言って良い。「かかっておいで」とベイルを挑発するなど、久々に女王様らしいところも披露したし、かわいいと評判のウィークエンドのコスチュームも堪能できる。ファンにはたまらない回となったはずだ。
翻弄される大二
ギフの、まさに異次元とも呼べる圧倒的な力を思い知らされた大二は、「人類を助けるには、ギフ様に忠誠の意を示してもらう必要がある」という赤石の言葉を信じる他なかったのだろう。何かにつけて「正義のため」と鼻息の荒かった、あの姿はどこにもない。まるで他人事のように、人々がバイスタンプを押印する様を眺めている。“牙を抜かれた虎”とは、まさにこのことである。
このまま赤石に飼い殺しにされるのかと思いきや、赤石は大二を飼い続けるつもりもない様子だ。
ギフジュニアたちに街を襲わせ、それを駆逐した大二に、新たに登場したヘルギフテリアンをけしかける。
まるで、ウルフオルフェノクみたいだが、その強さは別格である。何せ、単体でも強力だったギフテリアンを複数融合して生み出された存在なのだから。普通に言葉を話すところからして、知性も高そうだ。
さらに、ギフの持つ異次元レベルの再生能力を受け継いでいるため、左上半身を吹き飛ばされても瞬時に回復してしまうし、攻撃力も並はずれている。
ホーリーライブとなった大二が、まさに手も足も出せないまま瞬殺。
花が仮面ライダーアギレラとなって盛り上がるウィークエンドの面々とは真逆。まさに光と影である。
しかし、これこそが赤石の描いたシナリオ。大二は、大衆にギフの脅威を知らしめるための駒でしかないのだ。
心身ともにボロボロになった大二が、バイスタンプを押印したいと集まった市民に「大丈夫ですか?」と気遣われるラストシーンには悲哀が漂う。
「人類の未来が見えない」と失望し、ギフデモスへと身をやつした御子柴朱美。
フェニックスベースが崩壊した今、しあわせ湯に拠点を移し、新型デモンズドライバーの研究を続けるジョージ・狩崎。
悪魔から人類を守ために存在していたはずのフェニックスが、今やバラバラ。
「ギフを倒すためにはギフの力が必要。私を使って・・・」と、力を振り絞って一輝にメッセージを残した御子柴朱美を救うことはできるのだろうか?
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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