2020年9月20日放送『仮面ライダーセイバー』第3章「父であり、剣士。」(監督:中澤祥次郎 脚本:毛利亘宏)
「仮面ライダーバスター」初登場回。
前回の「仮面ライダーブレイズ」同様、「バスター」の強さをこれでもかとアピールされる。
最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは第3章のキャストをご紹介。
本作初登場でウィキペディアに記載のある方はリンクを貼っておくので、是非、他の参加作品などもチェックしていただきたい。
【キャスト】
神山飛羽真/仮面ライダーセイバー:内藤秀一郎
新堂倫太郎/仮面ライダーブレイズ:山口貴也
須藤芽依:川津明日香
富加宮賢人:青木 瞭
尾上 亮/仮面ライダーバスター:生島勇輝
大秦寺哲雄:岡 宏明
ストリウス:古屋呂敏
レジエル:高野海琉
ズオス:才川コージ
尾上そら:番家天嵩(バンカ テンタ)
ハンザキメギドの声:間島淳司
タッセル:レ・ロマネスクTOBI
ソフィア:知念里奈
空飛ぶ絨毯に乗る男の正体
前回のラスト、空飛ぶ絨毯で飛羽真の前に現れた謎のイケメンは、富加宮賢人。飛羽真の幼なじみで、倫太郎と共に戦うソードオブロゴスの剣士でもあった。
ただし、今回はここまで。
飛羽真との過去に何か曰くはありそうだが、それは匂わせる程度。
剣士であることは明かされたが、実際に変身したりはしないので、ライダーの姿になるのはもう少し先のようだ。
仮面ライダーバスター登場
その頃、一度は倒したゴーレムメギドが再び街を襲う。そこへ向かった飛羽真と倫太郎の前に、もう一人のソードオブロゴスの剣士・尾上 亮/仮面ライダーバスターが現れる。
飛羽真と倫太郎を、背後から飛び越しての豪快な初登場。さらには手にした大剣を振るい、ゴーレムメギドを一刀両断。
「ひよっこ共は下がってろ!」
そんな言葉に違和感がない、久々のおっさんライダー(設定は36歳)の登場。しかも子連れ。
さらにスーツアクターは、レジェンド・岡元次郎さん。納得の貫禄だ。
聖剣・土豪剣激土(ドゴウケンゲキド)を扱う土の剣士で、四神の一角、「玄武」の力を持つワンダーライドブック「玄武神話」を使って変身する。
ゴーレムメギドは倒したものの、ズオスが新たに生み出したハンザキメギドによって、街の人たちが次々と本の世界に取り込まれてしまう。その中には、尾上の息子・そらもいた。
そらを救い出すため、尾上と飛羽真、倫太郎はワンダーワールドへと向かう。
まさかの桃太郎侍
尾上 亮のモチーフは『子連れ狼』。拝一刀(オガミイットウ)という主役の名にちなんでいる。子連れだし。
ところが尾上は子連れ狼ネタではなく、まさかの数え唄を披露する。
「ひとつ、非道な悪いヤツに
ふたつ、震える大地の怒りを
みっつ、見舞ってやるぜ。問答無用!」
元ネタは、『桃太郎侍』。高橋英樹さん屈指の当たり役だ。
「ひとつ、人の世、生き血をすすり
ふたつ、不埒な悪行三昧
みっつ、醜い浮世の鬼を、退治てくれよう、桃太郎」
というのが、『桃太郎侍』の元ネタである。
余談だが、『桃太郎侍』は筆者の歴代時代劇ランキングの第1位である。
わかりやすいストーリー展開は時代劇のお約束だが、桃太郎を演じた高橋英樹さんが、とにかくカッコ良かった。
上述した数え唄に加え、悪党に怒りをたぎらせ呟く「ゆる・・・さん・・・!」の一言がまた素敵。
殺陣の上手さも抜きん出ていた。あれほど見事な剣さばきは他では見られないと思う。
しかし、決め台詞の迫力という点では、『破れ傘刀舟(トウシュウ)悪人狩り』の萬屋錦之介さんが圧倒的No.1だ。奇しくも『子連れ狼』の拝一刀役でもある。
「やかましいや、この野郎!」から始まり、悪党たちの罪状を並べ立てた挙句、鬼の形相で「てめえら人間じゃねえ!叩っ斬ってやる!」という一言には、心底シビレる。正直、時代劇でここまで怒りをあらわにする演技は他では見られない。虐げられた弱者を想い、目にはうっすら涙まで浮かべるほどの迫真の演技は、『桃太郎侍』の比ではない。もちろん『桃太郎侍』が悪いわけではない。『刀舟』が図抜けているのだ。
YouTubeで「やぶれがさとうしゅう」と検索すれば、刀舟が悪党を斬り倒す最後の殺陣の詰め合わせに巡り会えるので、興味があれば是非見て欲しい。スカッとすること請け合いである。
なのに、この『破れ傘刀舟』を個人的ランキングの第1位にしない原因は殺陣である。
『桃太郎侍』と比べると、圧倒的にイマイチなのである。私のような素人が、名優・萬屋錦之介さんを捕まえて、何をか言わんや、ではあるが、いやいや、こんな素人でもわかるレベルでイマイチだから問題なのだ。
刀を振ったところに斬られにくる悪党。防御のために刀を構えたところに振り下ろしてくる悪党。
萬屋錦之介さんがどうの、という話ではなく、斬られ役が下手なのかも? とも思ったが、では『桃太郎侍』では『刀舟』よりも上手い斬られ役ばかりを揃えたとでも言うのか?
少なくとも『桃太郎侍』を見ていて、この殺陣はイマイチだなと感じたことはない。これはやはり高橋英樹さんの技術の賜物だと思うのだ。斬られ役を上手く斬ってみせる技術、とでも言おうか。
そうした殺陣の見せ方と、『刀舟』ほどではないにしろ、それでも1級の演技によって『桃太郎侍』は色褪せない。
では、その『桃太郎侍』を元ネタにした「仮面ライダーバスター」はどうだろう?
先ほどの数え唄を口にした直後、飛羽真が「凄い迫力だ・・・」と呟くシーンがあるのだが、正直、全然である。声を張っているだけだ。凄みなんてものは微塵も感じなかった。子供たちにもわかりやすい言葉で数え唄をつくったということもあるとは思うが、さっぱりだ。
日曜の朝、子供たちと視聴されることが多い番組で、迫力とか凄みなんてものは、それほど必要とされていないのかも知れないが、『ビルド』の猿渡一海(サワタリカズミ)の最期のシーンなど、あの凄みがあったからこそ、未だ人々の心に残る名シーンなのである。
少なくとも、一人息子を攫われて、その奪還のために怒りに燃える父親には見えなかった。そこは返す返すも残念である。
最後は時代劇の話になってしまったが、セイバーもブレイズも、ワンダーライドブックを入れ替えることで様々にフォームチェンジして多様な戦い方ができることを示した。
しかし、メギドを倒しても世界は元に戻らず、息子・そらも戻ってこない。解決編は次回のようだ。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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