2021年5月16日放送『仮面ライダーセイバー』第35章「そして私は、神になる。」(監督:諸田 敏 脚本:長谷川圭一)
これまでの全34章を総括し、最終章へとつなぐ役割を担うはずの超重要エピソード。
はっきり言って”まとめすぎ”で、全てが薄っぺらく感じてしまった回。
例えるなら、壮大な構想の元に始まった長編漫画の打ち切り直前みたいな内容だった。
辛口レビューとなるが、最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここでは第35章のキャストをご紹介する。
神山飛羽真/仮面ライダーセイバー:内藤秀一郎
新堂倫太郎/仮面ライダーブレイズ:山口貴也
須藤芽依:川津明日香
富加宮賢人/仮面ライダーカリバー:青木 瞭
尾上 亮:生島勇輝
緋道 蓮/仮面ライダー剣斬:富樫慧士
大秦寺哲雄:岡 宏明
ユーリ:市川知宏
神代玲花/仮面ライダーサーベラ:アンジェラ芽衣
神代凌牙/仮面ライダーデュランダル:庄野崎 謙
マスターロゴス:相馬圭祐
バハト/仮面ライダーファルシオン:谷口賢志
ストリウス:古屋呂敏
デザストの声:内山昂輝
ルナ:岡本望来
幼い飛羽真:前川伊織
幼い賢人:宮本琉成
ソフィア:知念里奈
集まる聖剣と本
15年ぶりに再会した飛羽真と賢人とルナの3人だったが、その喜びも束の間、ルナは、サーベラの手によってマスターロゴスの元へと連れ去られてしまう。
「約束の地」と呼ばれる場所に姿を現すマスターロゴスたちと、それに呼応するかのように集まる剣士たち。
襲いかかるデュランダルをも圧倒する倫太郎だったが、人質を取るサーベラの卑劣な作戦の前に敗北してしまう。
本当にあっという間の出来事。
その後も「全ての聖剣を封印する」ために現れた賢人が、蓮を守るためにその身を挺したり、蓮も結局倒されたりと、まるで総集編を見ているかのようなスピード感で、「全知全能の書」を蘇らせるための儀式が始まってしまう。
エモーショナルドラゴン
「勇気!愛!誇り!3つの力を持つ神獣が、今ここに・・・!」
劇場版短編『不死鳥の剣士と破滅の本』に登場した強力なフォーム「エモーショナルドラゴン」が本編にも登場。
3体のドラゴンの顔が”飛び出す絵本”的に作られているワンダーライドブックは、「ジャオウドラゴン」の焼き直しだが、それは大した問題ではない。
デザイン的には、左腕に盾が装着されていたりと、セイバーのフォームの中でも抜群にカッコいいとは思う。
ただし、バハトを倒すためだけに用いられていると言っても過言ではなく、フォーム名としては「バハト殺し」がしっくり来る。
(たった2回で)さよならバハト
全ての剣士を目の敵にするバハトに、神代兄妹の持つ聖剣と本を奪わせたところで、「エモーショナルドラゴン」の力を復活させるマスターロゴス。
セイバーを強化することで、自らの手を汚すことなく、バハトを始末しようという知能犯。
神代兄妹は、マスターが一言「渡せ」といえば、素直に全てを差し出した気もするが、あえて実力行使で奪わせるところに、マスターのイカレっぷりと、誰一人信頼していないという心情を現しているように見える。
しかし、前回、復活を遂げて、その強力無比な実力を見せつけたバハトだったというのに、2回目にしてセイバーにあっさり葬られてしまう。
以前のレビューでも触れたが、本作は力の乱高下が激しすぎる。
バハトのようなキャラを、たった2回で退場させるというのはムダ使いとしか言いようがない。最後まで不敵に笑いながら消えていくところは”らしく”て良かったとは思うが、それにしたって、扱いが雑だ。
セイバー坂
ルナを救うために空へと続く光の道を駆け上がる飛羽真。
このCGもどうかと思うが、飛羽真の不自然な駆け上がり方に目眩を感じる。なんだか高速のルームランナーで必死に走っているみたいである。
ネット上では「セイバー坂」と揶揄されているが、まさに伝説のマンガ「男坂」のラストシーンを想起させる。
(涙も乾かぬうちに)復活のユーリ
「全知全能の書」が完成する直前、飛羽真が放った一撃で、剣士たちの手元に戻った聖剣。
その中には、前回消滅したばかりの光の聖剣の化身・ユーリの姿も。
悲しい別れも、嬉しい再会も、なんだか全てが虚しく見える。
「どうせ死んでも生き返る」
そんな『ドラゴンボール』でさえ、主要キャラが死んでから生き返るまでには、ある程度の時間を要した。
”死ぬ死ぬ詐欺”と揶揄された『仮面ライダーゴースト』だって、もう少し引っ張っていたはずだ。
言いたくはないが、とにかく全ての存在が軽く扱われすぎている感が否めない。
さよならルナ(アゲイン)
ようやく再会し、その窮地を救うこともできたルナだったが、再び消えてしまう。
今回は15年前のような悲痛な別れではなく、「また会える」という穏やかな別れではあったが、それにしても、前回から続く、このジェットコースターのようなスピード感はどうだろう。
昔、フジテレビ系列で『もう誰も愛さない』(1991年)という吉田栄作主演のドラマがあった。
あの作品も、その展開の早さから「ジェットコースタードラマ」と言われたが、今回の『セイバー』はそれ以上である。
F1の車載カメラを、よくあるドライバー目線ではなく、限りなく道路スレスレに装着して、ものすごい速さで流れていくアスファルトの映像を延々見せられているような感じだ。
正直、ついていくだけでやっと、みたいなスピード感で、物語を楽しむために必要な情報が端折られているような気もする。
ネットを探せば、それらの情報の断片に触れることもできるが、本編を何度観ても理解できないような作りは、いかがなものか?
次回、不完全ながらも「全知全能の書」を手に入れたマスターロゴスが変身する新ライダー『ソロモン』が登場するということではあるが、果たしてここからどんな展開が待っているのだろう。
完全に”手駒”としてしか扱われていないことに気づいてしまった神代兄妹や、ずっと木陰からマスターの動向を伺っていただけのストリウス、姿を消しているタッセルなどの今後の動向も気になるところだ。
残り3ヶ月半。
どうか、有終の美を飾って欲しいと心から願っている。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
\ 僕と握手! /