不動産業に従事している私は物件写真を撮ることも多く、カメラは必須。普段は現場が確認できる程度で良いのですが、時折ネット広告用の素材写真が必要となることがあります。
不動産広告の素材写真に必要な条件は、”明るいこと”と”狭い場所でも広く見えること”の2つです。1眼レフのような高級機でなければ両立が難しい条件です。
しかし写真が趣味でない私にとって、仕事で時々使うだけのカメラにそこまで投資するのはコスパが悪すぎます。会社の備品に一眼レフはあるのですが、古い機種である上に台数が限られているため、好きな時に持ち出すことはできません。
これまではコンデジ(コンパクト・デジタルカメラ)で撮影した写真を騙し騙し使ってきたのですが、とあるガジェットの登場によって状況が一変しました。
そのガジェットとはiPhone。iPhone11から搭載されるようになった超広角レンズが、私の写真体験を変えただけでなく、業務効率までアップさせてくれました。
”SE”といったローコストモデルも用意されるiPhoneですが、スマホで撮る写真を重視する方には、超広角カメラ付きモデルを心底オススメしたいのです。最新モデルでなくとも。
以下、実例も交えてその理由をご説明します。
スマホの限界、コンデジの限界
私は”iPhone6S Plus”というモデルを4年間使い続けてきましたが、カメラには不満がありました。プライベートで撮影する写真程度なら特に問題なかったのですが、ちょうどその頃、リフォームの仕事をしていた私は現場写真を撮影する機会も多く、トイレなど狭くて薄暗い空間を撮影する際に酷く苦労していたものです。
これはiPhoneに限らず、大した広角レンズを備えていない全てのスマホに共通する弱点だと思いますが、狭い空間を写真に収めようとする場合、その空間をキチンとフレーム内に収まるまで、撮影者が引くしかありません。しかし、すぐ後ろに壁があり、どうやってもそれ以上自分が下がることができない場面というのは結構あるもの。しかもレンズも暗いので、薄暗い場所はまるで心霊写真のように暗い印象になってしまいます。
悩めば悩むほど、”一眼レフ”という選択肢が頭をよぎりましたが、先述した通り、私は写真撮影が趣味ではありません。宝の持ち腐れになるのは目に見えていました。そこで私は、いわゆる”高級コンデジ”SONYのサイバーショットを購入してみることにしました。
今や1万円台で手に入るコンデジ(コンパクト・デジタルカメラ)もあるのに約10万円もするコンデジに投資した理由は、当時職場の同僚が使っていた1万円台のコンデジのショボさを痛感していたからです。広角撮影も、写真も、私のiPhoneよりちょっとマシという程度。コンデジなら、スマホよりも明るくクッキリとした写真が撮れるだろうと思っていたのにこれは残念でした。
それならばいっそ高級コンデジと呼ばれるものなら、こういった私の不満を吹き飛ばしてくれるのでは? と考え、サイバーショットを購入したのですが、めちゃくちゃ明るくクッキリとした写真が撮れるようになり、暗所での撮影にも明らかに強くなりました。
これにはレンズの明るさとイメージセンサーというものの違いが大きく影響しています。
レンズの明るさについて
レンズの明るさを示す数値として用いられているのがF値です。F値のFとは、”Focal(和訳:焦点の)”から来ており、数値が小さいほどレンズが明るく、シャッタースピードを速くできます。
ちなみに私が使用していたiPhone6S PlusのF値は2.2、サイバーショットは1.8(ワイド端:最大広角)〜2.8(テレ端:最大望遠)となっていました。
イメージセンサーとは
レンズから入った光を電気信号に変換する半導体のことです。
人間の網膜に該当するパーツのため、その性能がデジタルカメラの写真の画質を大きく左右します。
スマホに使われているイメージセンサーとデジタルカメラで使われているイメージセンサーには、なんとこれだけの大きさの違いがあります。写真の画質が段違いなのも頷けますね。
しかし、狭い場所での撮影はほとんど変わりませんでした。
これはサイバーショットが悪いということではなく、あくまでも私の勉強不足。私が期待していたのは、都度最適なレンズに交換可能な一眼レフに求めていたものであって、レンズ固定のコンデジでは無理だったのでしょう。10万円も出せば、一眼レフも手に入りそうではあったのですが、あくまでも本体のみでレンズは別。やはり一眼レフを購入しようとすれば、それなりの出費を覚悟しなければいけません。
持ち運びのしづらさも躊躇した理由です。
当然ですが、携帯性を優先すれば、スマホを超えるカメラはありません。充電についても、スマホなら充電しない日はないでしょうが、カメラは意外と見落としがちで、いざ撮影しようと取り出してみると、充電がなくなっていることも良くありました。
iPhoneの超広角カメラ
私は現在、iPhone11を使っていると先述しましたが、正しくは”iPhone11 Pro Max”というモデルを使っています。
トリプルレンズ(超広角・望遠・広角)を備えたこのモデルに対して、廉価版のiPhone11はツインレンズ(超広角・広角)となりますが、省かれているのは”望遠”のみで、”超広角”は共通。廉価版でも”超広角”を外さなかったところにAppleの意図が見えます。そもそもトリプルレンズなんて1年も前から他社がリリースしていたわけで、市場にインパクトを与えるためには、この超広角がどうしても外せなかったのではないでしょうか。
実際、この超広角レンズは素晴らしいものでした。レンズ性能だけではなく、マニュアル不要で直感的に使える圧倒的なユーザビリティまで含めてのインパクトは充分以上。
カメラモードを起動すると、上の画像のような画面になります。
赤く四角で囲んだ箇所に、”2″、”1x”、”.5″と数字が3つ並んでいますね。これが上から”望遠”、”広角”、”超広角”です。
それぞれの数字をタップすれば、瞬時にレンズが切り替わる仕組みですが、二本指でピンチイン/アウトすれば、1倍を下回ると自動的に超広角レンズに移行し、2倍を上回れば自動的に望遠レンズに移行(最大10倍までズーム可能。iPhone11は5倍まで)します。
このシームレス感と、3つのレンズが切り替わっても焦点がズレないのは凄いです。
いくら性能が高くても、使う側にもそれなりの能力を要求するのでは万人にオススメすることはできませんが、コレは高性能なうえに誰でも扱うことができます。Appleの流儀通り、マニュアル無しで直感的に。
先日、試しにウチの4歳の息子に渡してみたところ、すぐに使えるようになりました。Appleは元々好きな会社でしたが、子供が生まれて改めてその設計思想の凄さを思い知らされた気がします。
超広角写真の実例
それでは実例を見ていただきたいと思います。
広角レンズと超広角レンズの違いを並べてみます。
仕事で撮影した室内清掃後のアパートの水回り(キッチン、浴室、洗面所、トイレ)の写真なので、面白さはありませんが、わかりやすいとは思います。
全て、撮影者は場所もスマホの高さも変えず、ただレンズを広角から超広角へと変えただけです。
いわゆる”魚眼レンズ”なので、よく見ると写真の端っこの方は直線が歪んでいますが、それによって大きな違和感を覚えるほどのこともないのは、高度な画像処理のおかげ。
これなら、一眼レフまで用意しなくとも、それなりに使える写真が撮影できますし、何より嵩張るカメラを持ち歩かなくて良いというのは大きすぎるメリットです。
iPhoneを選ぶなら
現在iPhoneは、44,800円から購入できる廉価版のSEから10万円超えの最新機種まで用意されていますが、iPhone8の頃から実装された”ポートレート”モードは全ての機種で使用可能となっています。
ただし、本記事で取り上げた”超広角レンズ”と、暗所撮影に強い”ナイトモード”を備えるのはiPhone 11以降のモデル(SEは除く)。
ナイトモードとは?
ナイトモード対応のiPhone(11、11 Pro、11 Pro Max、12、12 mini、12 Pro、12 Pro Max)なら、明るさを自動的に検知し、暗い場所でもキレイな写真を撮ってくれます。
写真にこだわりのない方はSEでもXRでも充分だと思いますが、少しでもキレイな写真や面白い写真を撮って、家族や友人、恋人と共有したいとか、SNSに投稿するのが趣味という方には自信を持って”超広角”レンズ付きのモデルをオススメします。
2020年12月現在、アップルストアで正規販売されているものはSE、XR、11、そして最新の12シリーズです。
その中でも最廉価版のSEは税別44,800円(ストレージ64GB)で購入できますが、もちろん超広角レンズは無し。
1年落ちの型落ちモデル11は超広角レンズもナイトモードも備えていますが、価格は税別64,800円(ストレージ64GB)。
実に20,000円の差ですが、私の実体験から、現在のiPhoneはおよそ4年は使える設計になっています(個人差はあります)。
つまり、4年間使い倒すつもりなら、1日あたり約13円程度の負担で今までになかったような写真体験ができるのです。
毎月、約424円ほど節約(缶コーヒーなら4本ガマンするだけ)すれば良いのです。
私と同じ不動産業に携わる方にも、猛烈にオススメします。
本当に写真体験が一変しますよ。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。