昭和だから許された!完全アウトな物語|『快傑ズバット』第5話感想

雷堂

1977年3月2日放送『快傑ズバット』第5話「花売り少女と白い粉」(監督:田中秀夫 脚本:長坂秀佳)

眠らない街、東京。歓楽街を行き交う人々。あたりはすっかり暗くなっている。

そんな街角に、時代も場所もそぐわない格好で花とマッチを売る少女が一人。「お花は要りませんか? マッチはいかがですか?」通りすがる人たちに声をかけている。

季節は冬のようだ。少女も手がかじかむのか、しきりに手をさすって暖めているが、それでも足りないのだろう。売り物であるはずのマッチを躊躇なく使い、暖を取ろうとする。

画像引用元:快傑ズバット

心臓に毛が生えているといったレベルではない。心臓が田原俊彦。「ジャングルjungle」だ。

そこに通りかかったのは、本作の空気ヒロイン・飛鳥みどりと謎の家出少年・オサムの2人だ。

オサムとみどり
画像引用元:快傑ズバット

「かわいそうに・・・買ってやろうよ」

やけに上から目線のオサムが鼻につく。

「買わせてもらうわ」と丁重に切り出すみどりに、「感謝カンゲキ雨嵐」な展開のはずが、「いいえ、いいんです」とまさかの販売拒否。しかも、やけに怯えた様子だ。

「遠慮すんなよ。いくらなの?」と、さらに上からかぶせるオサムに「ダメなんです。叱られますから」と答える少女。その言葉を待っていたかのように物陰からワラワラと現れる黒ずくめの男たち。夜でもみんなサングラス。チーム名は「タモリ倶楽部」かと思いきや、「紅花連盟」というサラダ油みたいな名前らしい。

画像引用元:快傑ズバット

いきなりボコられるみどりとオサム。それを待ち構えていたかのように、夜霧の中から現れたのは我らがヒーロー・早川健。

画像引用元:快傑ズバット

黒服たちをボコり倒し、紅花連盟に強制労働を強いられている少女を助けようと立ち上がるのだった。

『快傑ズバット』第5話をレビュー。最後までおつきあいいただければ幸いだ。

目次

キャスト

ここでは今回のキャストをご紹介。本作初登場でウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておくので、是非、他の作品もチェックしていただきたい。既に40年以上前の作品なので、「え? あの人が出てたの?」といった驚きがあるかもしれない。

【キャスト】

快傑ズバット/早川 健:宮内 洋

飛鳥みどり:大城信子

寺田オサム:中野宣之

ミチル:佐久間真由美

紅蜘蛛:中 庸介

必殺ハスラー:日高晤郎

刑事A:小沢章治

刑事B:山田 茂

客:高野隆志

首領L:はやみ竜次

ナレーター:青森 伸

東条進吾:斉藤 真

用心棒・必殺ハスラー

必殺ハスラー
画像引用元:快傑ズバット

早川の前に立ち塞がったのは、紅花連盟の用心棒・必殺ハスラー。もはや名前とは呼べない。「モーレツ社員」みたいなネーミングだ。

ハスラーと名乗るだけあって、ビリヤードの達人らしい。それでいて用心棒。

そんなハスラーを「日本じゃ2番目のビリヤードのキュー使い」と罵る早川。2番目でも十分凄いと思うのだが、それよりも「キュー使い」という表現が引っかかる。ちょっと何言ってるかわからない。

「じゃあ、日本一は誰だ?」と、まんまと食いつくハスラーに、自信満々で自分を指差す早川のこの表情。

画像引用元:快傑ズバット

もはやどちらが悪人か微妙なほどの、いけすかない笑顔。

雌雄を決するため、ビリヤード対決が始まる。先行は必殺ハスラー。

画像引用元:快傑ズバット

2本のビール瓶の上に置いた赤いボールを、1ショットで同時に落としてしまうという超高等テクを披露するハスラー。

対する早川は、1ショットで2つの赤いボールを弾くだけでなく、その弾いたボールで背後の黒服二人をぶちのめし、その反動でボールを元の瓶の上に戻すという超次元テクでハスラーを沈める。

画像引用元:快傑ズバット

紅花連盟・紅蜘蛛

今回のボス、紅花連盟の紅蜘蛛。

紅蜘蛛
画像引用元:快傑ズバット

第4話までのボスは顔の左側を隠していたが、紅蜘蛛は右側を隠している。

幼いミチルを騙し、犯罪の片棒を担がせるという悪党だが、身寄りのない少女の面倒を見ているというのは揺るがぬ事実だ。本当は優しい人なのかもしれない。顔色はめちゃ悪いが。

そしてこの紅蜘蛛も、悪の大組織ダッカーの一員。

首領L
画像引用元:快傑ズバット

いつ見ても赤ら顔の首領Lに、麻薬密売でガンガン儲けることと、日本中を麻薬患者でいっぱいにすることを約束。

前言撤回。ただのドブ野郎だ。

白い粉

画像引用元:快傑ズバット

ミチルが夜の街で売っていた花とマッチには、麻薬が隠されていた。

そんなこととは露知らず、身寄りのない自分を育ててくれた紅蜘蛛の指示通り、「黒いバラ」という合言葉を使った人間にだけ、麻薬の隠された花とマッチを売り続けるミチルを早川はなんとか助けようとするが、ミチルは聞く耳を持たない。

『ズバット』の凄さはここにある。

「少女を使って麻薬を売らせる悪役」などという設定は、おそらく現代の特撮ヒーローものでは許されないだろう。

1970年代当時は麻薬が社会問題になっていた頃でもあり、作中でも麻薬によって狂人、廃人になった人たちの描写がある。

画像引用元:快傑ズバット

こういったインモラルな現実を子供たちに教えずして、何が教育か。

現代は臭いものにはフタという考えが横行しすぎている。

ズバット参上!

警察や早川に嗅ぎ回られることに嫌気が差し、紅蜘蛛はミチルを始末してしまおうと企てる。一緒にお出かけしようとミチルを誘い出し、容赦なく吊るす紅蜘蛛。ミチルをエサに、早川を誘き出そうという計画なのだ。

吊られたミチル
画像引用元:快傑ズバット

まんまと誘き出された早川は、紅蜘蛛のライフルの餌食になり、画面外に姿を消すが、その途端、どこからともなく現れるズバッカー。イリュージョンばりの早着替え。パンツの代わりに水着を履いてプールへ向かう小学生以上のスピード感だ。

吊るされたミチルを助け出すズバット。

吊るされたミチルを救うズバット
画像引用元:快傑ズバット

紅蜘蛛の「何者だ貴様!?」という問いかけに高笑いで答えるズバット。

「ズバット参上、ズバット解決。人呼んで、さすらいのっヒーロー!!快傑・・・ズバァァット!!」

名乗りをあげるズバット
画像引用元:快傑ズバット

高いところが似合うのはバカかニワトリかヒーローだ。

「多くの人々に麻薬を売りつけ、廃人にしたうえ暴利を貪り、あまつさえ罪もないミチルちゃんを利用した挙句、殺そうとした紅蜘蛛!許さん!!」

どれほど怒りで気持ちが昂っていても、子供の名前にきちんと「ちゃん」付けをするのがヒーローの流儀なのだろう。チルドレンファーストの精神、見習いたいものである。

必殺ハスラーを倒すズバット
画像引用元:快傑ズバット

用心棒・必殺ハスラーはボコって倒し、紅蜘蛛は必殺技「ズバット・アッタァァック!!」(別名:股間にもんまり)で行動不能に。

ズバットアタック
画像引用元:快傑ズバット

現場に駆け付けた警察の前には、行動不能となって倒れる紅蜘蛛と、残された1枚のカード。

画像引用元:快傑ズバット

「殺人未遂麻薬犯人」て、確かにそうだがわかりづらい。

そして、前回、前々回と簡略化されたデザインのカードを使っていたが、今回は初期のデザインが復活した(前回のカード↓)

画像引用元:快傑ズバット(第4話)

『快傑ズバット』を視聴するには

ミチル
画像引用元:快傑ズバット

「早川のお兄ちゃん、ミチルを許して。ごめんねーーーーー!」と、海に叫ぶミチル。

早川はまた犯人探しのさすらいの旅へと人知れず向かうのだった。

そして毎度おなじみの次回予告「ズバットの真似は危ないですから、絶対にしないでね」がとても愛らしい。

ちなみに『快傑ズバット』は全32話。現在は動画配信サイトでいつでも視聴可能だが、そのほとんどがレンタル扱い。1話100円としても全て見るには3,200円も必要だ。

だからこそ、「TTFC(東映特撮ファンクラブ)」をオススメしたい。月額960円(税込)で東映特撮作品のほとんどが見放題となる。とりあえず『ズバット』だけを1ヶ月で視聴して解約したって十分元は取れる計算である。

特撮の魅力が詰まった1本。心からオススメのアプリだ。

雷堂

それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

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