1977年3月9日放送『快傑ズバット』第6話「海にほえるマシンガン」(監督:田中秀夫 脚本:長坂秀佳)
白いギターだけを携え、今日もさすらう早川健。
他に手荷物も見当たらず、明日のパンツも持っていない様子。革ジャンと革パンを毎日着続けるのは、さすがにキツい。臭いもキツそう。
そんな早川が今回訪れたのは、とある港町。ロケ地は伊東。
たまたま町の銀行がギャングに襲われていた。
そこに居合わせた小学生の三太というのが無謀なヤツで、銃を構えたギャングに一人で立ち向かいボコられる。
絶体絶命のピンチに早川登場。ギャングをフルボッコにするが、早川は爆弾攻撃によって重傷を負い、断崖絶壁から海へ投げ落とされてしまう・・・。
衝撃的な展開を見せる第6話の3つの見どころをレビュー。最後までおつきあいいただければ幸いだ。
キャスト
ここではキャストをご紹介する。本作初出演の方については、ウィキペディアに記載があればリンクを貼っておくので、是非、他の参加作品もチェックしていただきたい。
快傑ズバット/早川 健:宮内 洋
飛鳥みどり:大城信子
寺田オサム:中野宣之
香代子:松風はる美
海賊キット:岩城力也
レッドボワ:滝波錦司
三太:長谷川 誉
アケミ:鈴木敦子
首領L:はやみ竜次
ダッカー幹部:江藤昭之
ナレーター:青森 伸
東条進吾:斉藤 真
レッドボワ
今回登場する悪党・海賊キットの用心棒がレッドボワ。
典型的なインディアンの装いだ。日本人のくせに。
喋り方も、ウソみたいに典型的な和訳インディアン語。「オマエ、偉イ人」といった具合。中国人のセリフの語尾に「〜アルヨ」とつけるくらい典型的な和訳だ。
いつもどおり、世界一のトマホーク投げ名人を自称するレッドボワと、こちらも自称世界一の男・早川健のトマホーク投げ対決が繰り広げられるが、唐突に用意された木杭に向かってトマホークを投げ、何本切断できるかの勝負らしい。
結果、レッドボワは3本。早川は4本。なんだかどちらも微妙であるが、勝者早川は、これで世界一(自称)のトマホーク投げ名人となったわけだ。
海賊キット
今回の悪党・海賊キットは、ただのおっさん。「キッド」ではなく「キット」である。なんだか「ナイトライダー」に登場する喋るクルマ・ナイト2000のA.Iみたいな名前だが、海賊感は薄い。劇中、一度も船に乗ることはない。
海賊バーでコスプレしている店長みたいな風貌である。「自分の店を、俺は持つ!」どん!みたいな感じだ。いつか『ワンピース』に登場させて欲しい。
銀行強盗を失敗したことを大首領Lになじられ、マシンガンで威嚇される。LはLでも、こっちのLは、頭脳派ではないようだ。甘いものより酒でも飲んでいるのだろう。でなければ、この顔の赤さの説明がつかない。
キットは、銀行で部下たちの顔を見られたことを理由に三太を捕え、早川を誘き出し、共に処刑しようとする。三太の母親も姉も顔は見たはずなのに、そっちは問題視していないという謎。
用心棒レッドボワを使い、「まずは耳を削ぎ、手、足と切り刻め」と、残虐極まりない。ひょっとしたら現代では「子供番組なのに残酷すぎる」といった批判も上がるのかも知れないが、悪党は悪党らしく描くから正義が際立つのだ。世の中、キレイごとだけでないことは、子供の頃から知っていて然るべきだ。
ズバット参上
レッドボワが三太を処刑するのを止めようとする早川だったが、暴れた途端に縛り付けられていた杭が抜けて、そのまま海へ落下してしまう。
「バカなやつだ」とお決まりのセリフを吐き、三太を始末しようとするキットとレッドボワの耳に、どこからともなく轟く爆音。ズバッカーだ。
「フライト・スイッチ・オン!」の掛け声でトグルスイッチを入れると、車体から翼が生え、宙を舞う。空飛ぶクルマを開発するというトヨタには、是非、第1号車をこのデザインでまとめて欲しい。
「ズバット参上、ズバット解決、人呼んでさすらいのヒーロー! 快傑ズバァァット!!」
誰もそんな風に呼んではいないけれど、いつもの名乗りが心地よい。
「銀行を荒らし、目撃者を殺し、あまつさえ罪もない子供までをも殺そうとした海賊キット、許さん!」
お得意のムチで次々にザコをボコり、レッドボワもボコり倒す。最後まで和製インディアン語を貫くレッドボワの生き様が素敵である。
そうして海賊キットをも追い詰めるが、キットは銃で最後のあがき。しかし、全ての銃弾をムチで弾き返されてしまう。ズバット恐るべしだ。ムチの使い手としては世界一だと胸を張っていい。少なくとも、にしおかすみこには負けていない。
最後は、海賊キットに親友・飛鳥五郎を殺したのはお前だな? と詰問するが、どうやら何も知らない様子。そこでトドメの「ズバットアタック」が炸裂。別名・股間にもんまりである。そうか。革パンを履き続けている理由は、この時のためだったのだ。タイトーの名作ゲーム『エレベーターアクション』のヒップアタックがふわりと脳裏をよぎる。
そうしていつもどおり、警察が現場に駆けつけた時にはズバットの姿はなく、行動不能となった海賊キットの上にそっと1枚の告発カードが載せられている。
『快傑ズバット』を視聴するには
今回も、誰に行先を伝えることもなく、港町(伊東)から姿を消す早川。
命を救った三太に「俺が助けてあげたんだキミを」アピールをしないのはさすがだが、重傷で浜辺に流れ着いたところを助けてくれたみどりとオサムにお礼も言わずに去るのはいかがなものか。
ともあれ、早川の仇討ちの旅は続く。全32話なので、あと26話も続く。
この早川の旅を見届けることが、今ならカンタンにできてしまう。動画配信サービスを利用すれば良いのだ。高価なDVD BOXセットを探す必要はない。
ただし、アマプラなどでは1話ずつのレンタルとなるため、1話100円としても3,000円もの出費が必要だ。
そこでオススメは「TTFC(東映特撮ファンクラブ)」である。月額960円(税込)で東映特撮作品が見放題。もちろん『ズバット』も見放題である。
1ヶ月だけ加入して『ズバット』を全話視聴後、退会するという手もある。しかし、おそらくその頃には他の作品にも興味が湧いているはずである。深淵なる特撮の世界を共に楽しもう。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。
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