
2022年7月16日放送『ウルトラマンデッカー』第2話「決意のカナタ」(監督:武井正能 脚本:根元歳三)
唐突に現れた「スフィア」という謎の存在によって、宇宙と隔絶されてしまった地球。
ひょんなことからウルトラマンデッカーの力を手に入れた主人公・アスミ カナタがTPU(Terrestrial Peaceable Union・地球平和同盟)訓練生となった前回。
それから1年の時を経て、GUTS-SELECT入隊を賭けた行軍訓練が始まる第2話をレビュー。最後までおつきあいいただければ幸いだ。


キャスト
ここでは第2話のキャストをご紹介する。
本作初登場でウィキペディアに記載のある方についてはリンクを貼っておくので、他の参加作品なども是非チェックしていただきたい。
なお、以下の画像は全て『ウルトラマンデッカー』より引用している。


アスミ カナタ
松本大輝


キリノ イチカ
村山優香


リュウモン ソウマ
大地伸永


カイザキ サワ
宮澤佐江


ムラホシ タイジ
黄川田雅哉


HANE2の声
アスミ ダイシロウ(写真):鈴木一功
アスミ シロウ(写真):小沼朝生
アスミ トキコ(写真):夏目実幸
サトウ:永吉幸一郎
ノジマ:西内 薫
イソザキ:樹隆
TPU教官:寺井大介・羽柴敦惣
逃げ遅れた男性:植木 亨
ウルトラマンデッカー:岩田栄慶
ミクラス:新井宏幸
デスドラゴ:梶川賢司
訓練生たち
アスミカナタが第1話でTPU訓練生となってから1年が経った。あの時、ウルトラマンデッカーに変身を遂げたカナタだが、それ以降は変身できていない(怪獣も出現していない)らしい。
訓練生たちの中では、「誰がGUTS-SELECTに入隊できるのか?」が大きな話題となっていた。
12名の訓練生の中でも最下位のカナタは見込み薄としても、1位のリュウモンソウマや5位のキリノイチカたちは、他の訓練生たちの噂話が気になって仕方ない。
そんなある日、60kmもの行軍訓練が実施される。
12名の訓練生たちを3名1チームとして、チームごとに60km先のゴールを目指すというもので、その舞台は山である。
ソウマが班長となるB班のメンバーは、カナタとイチカ。
「よろしく」と声をかけるカナタとイチカに「足を引っ張るなよ」と冷たい態度を取るソウマ。今のところはただのツンツンした人だ。女性陣にはウケるのかもしれないが、同じ男としては、ツンツンしてばかりの男は苦手である。
訓練が始まってもソウマは態度を変えない。
自分のペースで山道をガンガン突き進み、「ペースが早すぎる」とイチカに嗜められてもガン無視を決め込む。典型的な優等生・・・というか、ただのイヤなヤツにしか見えない。
そんな中、地震でバランスを崩したカナタが山道を転落。足に怪我をしてしまう。


この怪我によって、「ゴールに辿り着くのは無理」だと判断しリタイヤしようとするソウマと、最後まで諦めないというカナタが衝突する。


怪我をして満足に動けない仲間がいたら、本部に救援を求め、自分たちは作戦から離脱するというのは、正しいリーダーのあり方だろう。だからソウマの判断は決して間違ってはいない。
しかし、ヒーローとして考えると、やる前から白旗を上げる、なんてことはあり得ない。カナタは正しくヒーローの素養を持っていることが描かれている。
ベタの中のベタ、みたいな展開が続く。だが、それがいい。
これが「Breaking Down」なら、このまま殴り合いにでもなりそうな雰囲気を収めるのはイチカだ。
ソウマの判断の正しさを認めながら、カナタの意志をも尊重し、二人をサポートする。
そんなイチカの夢は、1年前に襲来したスフィアによって地球に戻れなくなってしまった人たちを助け、誰もが自由に夢を描ける世界を取り戻すことだという。
ずっと宇宙開発に携わりたいと願いながら、スフィアによってその夢を断たれてしまったイチカ。長年の夢が叶わないと知った時の辛さを、他の誰にも味わわせたくない、という優しさゆえだろう。
「やらなきゃいけないと思うから、やらずにはいられないと思うからやるんだよ」という台詞が刺さる。
熱血タイプのカナタと、冷静沈着なソウマ、そしてバランサーを務めるイチカと、それぞれの役割は明確。
こういった性格設定だってベッタベタだが、変に奇を衒うのは、わかりづらくなるだけだろう。ドラクエのようなRPGだって、戦士と僧侶と魔法使いというベタなパーティを組んだ方が、より多くの人が楽しめる。全員戦士みたいなこだわりは、一部のマニアにしかウケないし、そもそもベタが嫌いなら特撮なんて観ていない。
デスドラゴ登場
度重なる地震の中、山の中から姿を現したのは一体の怪獣。ヤツの名は、破壊暴竜デスドラゴ。


破壊暴竜デスドラゴ
身長:66m
体重:60,000t
武器:頭部にあるツノから放つ電撃
『ウルトラマントリガー』にも登場した怪獣だ。
『トリガー』では、TPU結成のきっかけとなった怪獣として「始まりの怪獣」という異名を持っており、ヒジリアキトの両親の命を奪った因縁の怪獣でもあった。
訓練の中止と退避命令を発し、自ら戦闘機・GUTSファルコンで飛び立つムラホシ。


頭部のツノを1本でも折れば戦意喪失するはず、というサワの予想に反し、ツノを折っても攻撃をやめないデスドラゴ。
逃げ遅れた人を救助するカナタたちをデスドラゴの攻撃から守るために身を挺したGUTSファルコンは撃墜。
それを見たカナタは、ソウマたちに「他に逃げ遅れた人がいないか見てくる!」と言い残し、怪我した足で走り出す。
「やらなきゃいけないと思うから、やらずにはいられないと思うからやるんだよ」と言ったイチカの言葉が心の中でこだまする。
手を伸ばし、ウルトラマンに呼びかけるカナタの声に応えるようにウルトラDフラッシャーが現れる。
光の中から登場したデッカーだが、足の負傷のせいで思ったように動けない。変身したら怪我が治ってしまう、というような都合の良い展開は用意されていないらしい。変身早々ピンチを迎えるデッカー。
そのピンチを救ったのは、新型機・GUTSホーク。


デスドラゴのもう1本のツノを打ち砕くが、それでもデスドラゴは止まらない。
助っ人登場


その刹那、カナタの目の前に3枚のカードが現れ、光り輝く。
これが本作のウリの一つである、ディメンションカード怪獣だ。
今年55周年を迎える名作『ウルトラセブン』に登場したカプセル怪獣をリブートしたもので、「アギラ」「ウインダム」「ミクラス」の3体を呼び出すことができる。
記念すべき第1弾はミクラス。


ミクラス
身長:40m
体重:20,000t
得意技:500万馬力の怪力
頭部のモチーフは、古代インカ帝国の神面とされているが、離れた目玉と魚のような口がユーモラス。伝説のデザイナー・成田 亨さんの手によるもの。
初出は『ウルトラセブン』。それから55年経った今でも全く色褪せないデザインなのが凄い。
足を負傷したデッカーと共にデスドラゴに押し相撲を仕掛け、ぶっ倒す。さすが500万馬力。鉄腕アトムなら50体分である。と言っても、まるでピンと来ないけれど、とにかく凄そうなのは、まあわかる。
ただし、出番はこれだけ。どうせなら足を痛めたデッカーの代わりにデスドラゴにとどめを刺してしまえば良いのに、とも思うが、ウルトラマンの最後はスカッと光線で決めて欲しいと思う人は多いのだろう。
今回も、そんな例に漏れず、必殺のセルジェンド光線でデスドラゴは木端微塵に吹き飛んでしまう。


GUTS-SELECTに入隊したのは?
ウルトラマンデッカーによってデスドラゴが倒された後も、逃げ遅れた人たちを助け続けるカナタたちB班を見て、退避命令を出したはずだと詰め寄るムラホシに、「今やるべきことをやろうと3人で決めました」と胸を張るカナタたち。そこには、試験に合格したいとか、上官の命令に従っていれば良い、といったちっぽけな自己満足ではなく、例え試験に落ちようと、今、自分たちができる最善のことをやり切ろうという清々しさだけがあった。


「処分は追って知らせる」としながらも、「これからは指示に従い、無茶な行動はしないように・・・GUTS-SELECTの一員として」と、しれっと3人のGUTS-SELECT入隊を伝えて立ち去るムラホシ。
ベタだ。キング・オブ・ベタ。
だが、だからこそ良い。
GUTS-SELECTの制服に身を包む3人の勇姿に、こちらの胸も熱くなる。
第1話は、いろいろと唐突すぎて、正直微妙な感じだったけれど、この第2話を見た感覚で言えば、「悪くなさそう」な予感がしてきた。
GUTS-SELECTが、少数精鋭のくせに、上官よりも新人が多いという編成には違和感しかないが、次回以降が楽しみになってきたのも事実。
これまでのエピソードの見逃し配信は「TSUBURAYA IMAGINATIONで。





それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました。


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